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計画と記録 柴崎友香

 前回、自分の日々の行動に直面するのがつらいので日記を書くのが苦手、自動的に記録してくれるアプリがあればいいのに、と書いた。確かに、多種多様なアプリがあった。まず「日記」で検索。多くが日記帳のスマホ版という感じで、記入すること自体がつらい私には難しい。項目をチェックするタイプもあるが、ほどよいものをまだ見つけられない。「家族や友人と共有できる!」もあったが、それはむしろ最も避けたい。

 私の要望に近いのは「行動記録」で検索するとあった。試してみてしっくりきたのは、移動した位置情報を記録するもの。どこに何時にいたか、地図上に軌跡が記録される。場所がわかれば何をしていたかがだいたいわかる。ここに仕事や予定の記録が書き込めればいいのだが、希望通りのものはなかなかない。このアプリのこの部分と、こっちのここが合わさってくれればなあ、と思いつつ使っている。細かく位置情報が記録されるのはけっこうな個人情報ではあるので、それも悩ましいところ。

 仕事の進捗(しんちょく)状況を改善したいと前々から思っていて、「スケジュール」「タスク管理」などで検索してみると、こちらも多種多様だ。人によってこんなにやり方が違うのかと面白い。受験や資格の勉強を匿名の他の人と共有し合いながら進めていくアプリが多数ある。私はきっと他の人と比べると落ち込むので、励まし合いながらがんばれるタイプの人も多いのだなあ、と感心した。

 仕事のやらないといけないことをカレンダーに細かく書き込むアプリを使ってみている。色分けした項目をチェックして最初は楽しかったのだが、すぐに持ち越し項目が溜(た)まるし、日々の枠にぎちぎちに予定が並ぶのを見るうちに「予定をこなすために生きてる感じやん」と、つらくなってきた。つまるところ、紙に手書きにしてもアプリにしても、もうちょっと余裕を持って生活することが最良の解決策であるようだが、それがいちばん難しい。=朝日新聞2024年2月28日掲載