「こちら、沖縄美ら海水族館動物健康管理室。」書評 イルカやサメのお医者さんの活躍に驚嘆
評者: 野矢茂樹
/ 朝⽇新聞掲載:2024年08月10日
こちら、沖縄美ら海水族館動物健康管理室。 世界一の治療をチームで目指す
著者:岩貞 るみこ
出版社:講談社
ジャンル:文学・評論
ISBN: 9784065357101
発売⽇: 2024/06/19
サイズ: 13.7×19.5cm/224p
「こちら、沖縄美ら海水族館動物健康管理室。」 [著]岩貞るみこ
沖縄美(ちゅ)ら海水族館のお医者さんたちの話。漢字は全部ふりがなつきで、小学生仕様のようだが、なんの。よろしいか。
イルカの体温を測る。肛門(こうもん)にチューブを入れられてもじっとしているように訓練することから始める。尾びれが壊死(えし)したミナミバンドウイルカに人工尾びれをつける。これはもう一大プロジェクトだ。ヒブダイがけがをした。秘技、魚おさえ。膿(うみ)をとって、薬を飲ませて、手術(調理ではありません)。弱って泳げなくなった百キロほどのアオウミガメにイカを食べさせるのが、これまたひと苦労。ジンベエザメの血液検査とエコー検査。あのですね、これ、水中でサメと一緒に泳ぎながらやるのですよ。それからホホジロザメの胎仔(たいじ)についての世紀の大発見。マナティーの赤ちゃん誕生。だけど母乳がうまく出ない。人工ミルク、材料は? ほ乳瓶、乳首の形は? 試行錯誤。飲んでくれた。でもミルクの濃さの問題か、便秘。マッサージ。うんち出た!
この子もいまでは3歳になって水族館で泳いでいる。どうです? ね、わーお、でしょ?