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「ガージュー先生」ほか子どもにおススメの3冊 戦渦の沖縄、生き抜いた少女

「ガージュー先生」

 1944年、沖縄から本土に向かった学童疎開船が米潜水艦の魚雷を受けて沈没、1500人近くの命が失われた。本作は「対馬丸事件」の数少ない生存者だった平良啓子さんをモデルに、その半生を描いた絵本だ。

 やんばるの森に住む9歳のひろ子は、母を力仕事で手伝い、親友がいじめられれば駆けつける気丈な女の子だ。祖母と兄、親友らと学童疎開船に乗り、件(くだん)の事件に遭う。荒れた海に投げ出され、命を争う大人たちにもまれながらいかだにつかまり、6日間漂流の末に生き延びる。

 帰ると沖縄戦が待っていた。山奥へ避難し、飢えをしのぎ、無残な死を目の当たりにしながら、やっと終戦を迎える。占領下で進学し、小学校の先生になり、戦争の語り部となる。

 「ガージュー」とは、沖縄の方言で頑固な人、我の強い人のこと。生き抜く少女の強い生命力が、過酷な戦争情景とともに描かれる。40年以上沖縄に通い取材を重ねた作者の、入魂の型絵染だ。弱い者から犠牲になり、箝口令(かんこうれい)が敷かれた戦時の非人道性が逼迫(ひっぱく)して感じられ、今、平和教育の意味を考えさせられる。【絵本評論家・作家 広松由希子さん】

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 たじまゆきひこ作、童心社、2200円、小学校中学年から

「ハヤ号セイ川をいく」

 今から70年以上前に出版されたフィリパ・ピアスの最初の作品が、新訳で出ました。なにしろ昔の物語ですから、ケータイもメールもコンピューターも出てはきません。ド派手な事件も起こりません。

 でも、2人の少年デイヴィッドとアダムが、ハヤ号と名付けたカヌーで宝探しの冒険をする様子が、とてもリアルに、そしておもしろく描かれているので、ワクワクします。心理描写や情景描写の細やかさ、個性的な脇役、謎解きの醍醐(だいご)味……イギリスの古典的な児童文学の豊かさを味わってください。【翻訳家 さくまゆみこさん】

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 フィリパ・ピアス作、エドワード・アーディゾーニ絵、原田勝訳、岩波書店、1430円、小学校高学年から

「女の子がハッピーに生きるための3つのこと」

 若くして母親になったシングルマザー愛海(らぶみ)ともうすぐ12歳のかふう。2人は沖縄で、貧しいながらも楽しく暮らしている。おおらかな母は前向きだが、かふうはこのままの状態で生きていくことが難しいと気づき、NPO法人の若年母親の運転免許取得支援を新聞記事で見つけ、母親にチャレンジするよう提案する。

 なぜか弱い立場の人に届けられるべき情報が届かない。どんな人にも差し出される手があることを知ってほしい。2人の悲壮感の無いラストがさわやか! かっこいい家族の形。【丸善丸の内本店 兼森理恵さん】

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 福木はる著、講談社、1760円、小学校高学年から=朝日新聞2026年530日掲載