「ぼくのいうことを、きかないぼく」
この物語は、小学6年生の遥斗(はると)と駿(しゅん)が交互に語っていく形をとっている。深刻な問題を扱っているにもかかわらず読みやすく、「トゥレット症」について理解を深めることができる。
学習発表会で遥斗は、駿とワタルと一緒のグループになり、世界遺産について調べることになった。遥斗と駿は小学1年のクラスが同じで、よく遊んでいた。6年生で久しぶりに同じクラスになったが、駿が当時と変わってしまっていたことに遥斗は戸惑っていた。よく首や肩をピクピク動かして落ち着きがなかったり、授業中にスンスンと鼻をすすって周りに迷惑がられたりしているからだ。あるとき遥斗は、偶然見かけた動画をきっかけに、駿は自分の意思とは関係なく体が動いたり声が出たりする「トゥレット症」ではないかと気づく。
遥斗はワタルと一緒に、友だちとしてできることはないかと考え、駿のことを理解しようとする。2人の歩みよりがあり、駿の世界は少しずつ変わっていく。3人の友情がほほえましく、知ることの大切さについて気づかせてくれる1冊。(ちいさいおうち書店店長 越高一夫さん)
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柴野理奈子作、中田いくみ絵、ポプラ社、1760円、小学校高学年から
「ぼくたちは、あらそうために生きるのか?」
約700万年の間、ヒトは進化を遂げてきた。二足歩行になり、速く逃げることもできず、鋭い牙も爪も持たない弱い生き物が生き延びられたのは、仲間と助け合うことでだった。「わかりあいたい」という気持ちを育てながら進化したヒトの特性は他者に共感、共鳴できるところ。ヒトの進化の過程を通して、タイトルそのままに今この世界とどう向き合うべきか考えさせられる。
霊長類研究者の山極寿一さんの率直なメッセージに、元旭山動物園飼育係の画家、あべ弘士さんの包み込むようなまなざしが寄り添う。(丸善丸の内本店 兼森理恵さん)
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山極寿一文、あべ弘士絵、偕成社、1540円、小学校中学年から
「ママのおむかえ、どっちがはやい?」
保育園や幼稚園がどんなに楽しくても、日が傾いてくると、子どもたちは「早くお迎え来ないかな?」と思うようになる。
この絵本では、2人の女の子が窓の外をながめながら、どっちのママが先に着くかで、どんどん想像力をふくらませていく。
いろいろな乗り物に乗ったり、とぶように走る靴にはきかえたりと、ママたちは熾烈(しれつ)な競走を繰り広げる。だけど1人が海でサメにのみこまれると、もう1人が助けに来て、2人で一緒に空をとぶよ。
お迎えが来てホッとして、水たまりを走っていく女の子たちの楽しそうなこと!(翻訳家 さくまゆみこさん)
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エマ・ヴィルケ文、ヨアンナ・ヘルグレン絵、菱木晃子訳、徳間書店、2640円、4、5歳から=朝日新聞2026年6月27日掲載