1. HOME
  2. コラム
  3. 新書ピックアップ
  4. 「日本の醜さについて」など、今週注目の新書4選(朝日新聞2018年6月23日掲載)

「日本の醜さについて」など、今週注目の新書4選(朝日新聞2018年6月23日掲載)

『日本の醜さについて』

 集団主義的で自己主張しないとする多くの日本人論は、都市と建築という視点を欠いている、と著者はいう。ヨーロッパの都市は歴史的町並みを守り戦争で失われた建築を復元した。一方、戦時体制下で鹿鳴館を壊した日本では、現在も地権者と建築家が思うままに建築で自己主張を続けている。「日本文化私観」でバラックを称揚した坂口安吾を批判しながら、日本人のエゴイズムをあぶりだす。
★井上章一著、幻冬舎新書・864円

『台湾の若者を知りたい』

 台湾の若者世代はマンガやアニメを通じて日本への関心が高いが、日本人は台湾の人々のことをどれだけ知っているだろうか。都市部の高校生や大学生を中心に、その日常生活と意見を紹介。朝食は家で食べない、学校に配置された現役軍人が生活指導や実弾訓練を行う、大学時代に兵役があるが就活はない、など日本とは大きな違いも。日本人と交流する中で感じた習慣やマナーの差も聞き出す。
★水野俊平著、岩波ジュニア新書・929円

『新貿易立国論』

 かつて加工貿易で成長した日本は、1990年代以降のグローバル化を背景とした新興国・途上国の台頭に押され、もはや貿易大国とはいえない。世界経済の軸が先進国から移行しつつある中で、著者は長年にわたり日本企業が数多く進出してきたASEANと連携を強化し、生産や輸出の拠点として活用すべきだと主張する。
★大泉啓一郎著、文春新書・950円

『早稲田と慶應の研究』

 女性誌の読者モデル登場回数は「ワセジョ」が慶応女子をしのぎ、両大ダブル合格者は慶応を選ぶほうが多数……。30年前とは異なる私大両雄の実態を、大学の公式案内では得られない生情報などを元に検証。偏差値の学部ごとの変化、グローバル化、就職状況、学費、奨学金制度、学生気質、付属校事情などあらゆる面から徹底的に比較する。
★オバタカズユキ著、小学館新書・886円