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「今夜は最高な日々」書評 こんな時代があったのだ

評者: 田中貴子 / 朝⽇新聞掲載:2010年10月24日
今夜は最高な日々 著者:高平 哲郎 出版社:新潮社 ジャンル:エンタメ・テレビ・タレント

ISBN: 9784103264118
発売⽇:
サイズ: 20cm/319p

山下洋輔トリオ縦横無尽、赤塚不二夫ほか面白グループも全速前進、そして伝説の番組「今夜は最高!」が始まった−。企画編集、テレビの構成、芝居などの演出を手がけてきた著者が、笑…

今夜は最高な日々 [著]高平哲郎 

 1980年代、土曜日の夜中を騒がせたテレビ番組があった。タモリがホスト役を務め、ゴージャスなゲストが毎回登場するバラエティー、その名も「今夜は最高!」である。80年代は評者の20代とぴったり重なるが、勉強をすませた夜、この番組がどんなに待ち遠しかったか。
 本書は、そのほかにも型破りで実験的な多くの番組の構成や演出に関(かか)わった著者のクロニクル的エッセーである。赤塚不二夫や山下洋輔トリオといったご常連の裏話や、俳優や歌手だけでなく小説家や作詞家まで呼んで歌やコントを演じさせたエピソードが満載。懐かしい人にはもちろん、あらゆる年代の人に「こんな時代があったのだ」という感慨を抱かせるはずだ。
 テレビ番組が画一化し、テレビ離れに一層拍車がかかった現在では、当時の実験的な手法やややスノッブな雰囲気について知ることは、単なる回顧にとどまらないだろう。タイトルも落語や舞台の名前をつけるなど、工夫が凝らされている。
 和田誠の手になる表紙も豪華で、まさに「今夜は最高!」な気分にひたれるテレビ盛衰記である。
 田中貴子(甲南大学教授)
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 新潮社・1785円