「真珠の耳飾りの少女」で知られるオランダの画家フェルメール。現存する35作品を撮影するため写真家の植本一子さんが7カ国にある17の美術館を訪れた『フェルメール』(ブルーシープ、ナナロク社・2160円)が刊行された。フェルメールは寡作だったため、これまでにも全作品踏破というファンにとっては夢の旅を実行した本はいくつかあるが、本書は植本自身がつづった約3週間の撮影旅行の日記や、作品を鑑賞する人々や美術館の周りの様子の写真も織り込まれ、読みながら旅している気分にひたれる一冊となっている。
絵画本にありがちな解説や歴史のうんちくがほとんどないのも臨場感を高めている。絵を見ることだけにまっすぐ集中できるからだ。植本自身、あえて下調べをせず、失敗のないデジタルではなくフィルムカメラでの撮影を選んだ。緊張してファインダーをのぞくうち、光が織りなす「素晴らしい一瞬を残す」ことに生涯を捧げた画家の思いに気づき、撮影に臨む自分の思いと重ねた日記の記述が心に残る。 (久田貴志子)=朝日新聞2018年10月27日掲載
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