「あの小説をたべたい」は、好書好日編集部が小説に登場するごはんやおやつを料理し、食べることで、その物語のエッセンスを取り込み、小説の世界観を皆さんと共有する記録です。
今回は、上橋菜穂子さんの冒険ファンタジー「守り人」シリーズの第一作目、『精霊の守り人』の世界を味わいます。
「ノギ屋の弁当」を食べる
新ヨゴ皇国の皇子チャグムは、精霊の卵を宿したことからその命を狙われることに。熟練の女用心棒バルサは、その腕を見込まれ、チャグムの母・二ノ妃からチャグムを守るよう頼まれます。
幼いチャグムを連れたバルサは、追っ手から逃れるために、たのまれ屋のトーヤのもとへ。そこで、旅用の着物や干肉など旅に必要なものの調達をトーヤに依頼します。その買い物ついでに、トーヤが買ってきてくれたのが、ノギ屋という弁当屋の鳥飯です。
トーヤたちが買ってきてくれたのは、鳥飯だった。ジャイという辛い実の粉とナライという果実の甘い果肉をまぶしてつけこんだ鳥肉を、こんがりと焼き、ぶつ切りにして飯にまぶしたもので、これもじつにおいしかった。
「守り人」シリーズ読者なら、一度は食べてみたいと思う一品。「ジャイという辛い実の粉」には山椒、「ナライという果実の甘い果肉」にはリンゴを使ってみました。
美味しくてボリュームたっぷりのノギ屋の鳥飯は、まさにパワー飯。これから始まる本格的な冒険前の腹ごしらえにぴったりの一皿でした。