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ルフィのような大きな存在になりたい 女子ラグビー・桑井亜乃さん(前編)

文:福アニー、写真:松嶋愛

仲間を見捨てず大切にする心に共感

――『ONE PIECE』は「週刊少年ジャンプ」で1997年から連載が続いている長寿漫画です。いつ、どんなきっかけで出会ったんですか?

 大学のときに友達の家によく遊びに行ってて、そこに『ONE PIECE』があったんです。もともとアニメのほうは観てたんですけど、「漫画もめっちゃおもしろいから読んでみなよ」って薦められるまま1巻を読んだらハマっちゃって。そのときすでに60巻くらいまで出ていたので、一気に読みました。友達の家に行ったら『ONE PIECE』を読むみたいな感じ(笑)。漫画はあまり読むタイプではなかったから、自分でも驚きました。

――桑井さんをそこまで夢中にさせた『ONE PIECE』、どうしてそこまで好きになったと思いますか。

 仲間がどんどん増えていくのがいいですよね。それぞれのキャラクターのそれぞれのストーリーがあって、いい仲間だっていうのをルフィがちゃんと見極めて、仲間にしていく。最初はみんなルフィの仲間になる気はなかったけど、だんだんルフィの魅力にハマっていって行動を共にする。たとえばウソップもルフィと喧嘩して、一回離れかけたじゃないですか。でも結局ルフィは見捨てない。厳しいことも言うけど、最終的には「仲間だから仲間だ」というような。そこが『ONE PIECE』の凄いところだなって読んでて思いました。

ゲストアスリートとして参加した「ジャパンウォーク in YOKOHAMA 2018秋」で
ゲストアスリートとして参加した「ジャパンウォーク in YOKOHAMA 2018秋」で

――仲間とともに協力し合ったり、ときにはむき出しの感情をぶつけ合ったりというのは、スポーツとも通じるところがありそうですね。

 『ONE PIECE』は本当にそうですね(笑)。自分が仲間だと思っていても相手がそうじゃないと、たぶん真の仲間にはなれないんじゃないかな。そういう難しさを抱えつつ『ONE PIECE』を読むと、本当に信頼できる仲間じゃないと一緒に戦っていけないんだなって思うし、自分もルフィみたいな大きい存在になれたらなと思います。

――「仲間思い」のほかに、ルフィのどういったところに魅かれました?

 やっぱり負けず嫌いなところですかね。目標を持ってそれに向かって戦う姿勢だったり、それを見て仲間がルフィを助けたいって気持ちにさせたり。ルフィが愚直にがんばってるから周りもなんとかしなきゃってなると思いますし、ルフィの仲間を見捨てずに絶対助けるという気持ち、仲間を大切にする心、みんながルフィを助けようとする気持ち。そんなところからルフィの人柄が見えてくるし、本当に凄いなと思います。

変わるチャンスと強くなるきっかけをくれた

――60巻くらいまで猛スピードで読んだとおっしゃっていました。とりわけ印象的なシーンは?

 59巻でルフィの兄のエースが亡くなってしまうところです。ルフィのエースを絶対に助けたいって気持ちが前面に出てたし、そのシーンは何回も読みました。エースはなんだかんだ生き延びるだろうと思っていたので、正直「死んじゃうんだ……」と。でも、そこでまたルフィが変わったと思っていて。それから何年か後にみんなで集まったとき、ルフィはさらに最強の人物として現れます。

 私も代表から落ちたときは凄い悔しかったですし、どこか変わらないと生き残れないんだなって挫折を味わいました。ルフィもたぶん自分が強くならないと仲間を助けられない、またエースみたいな子を増やしてしまうと思ったから、がんばって変わったと思うんです。だから自分自身も変わるチャンスとして、強くなるきっかけをもらった気がして。挫折したときに、人はまた強くなるということを教わりました。

「ONE PIECE」59巻、P20-21 ©尾田栄一郎/集英社
「ONE PIECE」59巻、P20-21 ©尾田栄一郎/集英社

――その「立ち止まって力をつけるんだ…そしてまた必ず集結する!!2年後に!!!シャボンディ諸島で!!!」の場面は、2年後に控える東京オリンピックと重なります。またサクラセブンズ(7人制ラグビー女子日本代表)でピッチに立つために、ご自身としてもチームとしても、「修行」すべきことはなんだと思いますか?

 リオオリンピックで満足いく結果が残せなかったですし、その後12人のメンバーに入れないときもあったんです。そんなときに、自分の武器はラグビーをやり始めたときから「パワー」だと。その強みをもっと世界大会で見せつけないといけないと思っています。チームとしても個々が強くならないといけないですし、もっともっとチームワークを高めていかなければならない。私とキャプテンがみんなより年上なので、そのふたりがしっかりチームを盛り上げて、引っ張っていくというのが本当に大切なことかなと思います。

東京オリンピックでメダルを取るのが夢

――『ONE PIECE』のほかにもよく漫画や本は読みますか。

 いや、昔『花より男子』や『SLAM DUNK』をちょこっと読んだくらいで、本当に『ONE PIECE』推しですね。『ONE PIECE』だけはハマったって言えるくらい、当時は熱心に読んでいました。エースが亡くなったあとの60巻くらいからは、燃え尽きてしまったのか読んでないです。アニメだけはいまだに観てるんですけど(笑)。

――音楽を聴いたり映画を観に行ったり、『ONE PIECE』以外のリフレッシュ方法は?

 映画は時間があれば、ひとりでも観に行っちゃいますね。最近観たのは『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』。まだまだ走ってましたしよかったですよ。あと『24 -TWENTY FOUR-』や『プリズン・ブレイク』もハマってます。ドキドキハラハラするアクションが好きかもしれないです。

――ところでルフィは全身が伸び縮みするゴム人間ですが、桑井さんはどういう能力が欲しいですか?

 瞬間移動! シュッと動けるスピードが欲しい。でもルフィのようなゴム人間でもいいと思うんですよ。ピョーンって手を伸ばしたらすぐトライですからね(笑)。

――走らず圧勝ですね(笑)。あとルフィは麦わら帽子がトレードマークですけど、桑井さんのトレードマークは?

 試合のときのお団子ヘアですかね。それを変えるつもりはまだないです。

――ルフィの野望は「ひとつなぎの大秘宝」を見つけて「海賊王」になることですが、ご自身のいまの夢を教えてください。

 東京オリンピックでメダルを取りたいです。

>後編「『お帰り』と言ってくれる場所があるからがんばれる」はこちら