人命救助のため土俵に上がった女性看護師に「下りてください」と要請し物議を醸した相撲協会。力士間の暴力事件も後を絶たない。そんな旧態依然の相撲界に張り手をかますかのような意欲作。
相撲部屋の娘に生まれた桜子は、父が果たせなかった横綱になる夢を抱き、女子相撲世界チャンピオンにまで上り詰めた。が、いくら頑張っても大相撲では女は土俵に上がることすら許されない。ならば、自分の手で横綱を育ててみせる。そこで彼女がスカウトしたのは、大した戦績もない長身ボクサーだった!
太ってナンボの相撲の世界に、減量が必須のボクサーを投入するところがまずユニーク。「デブじゃダメ」「ガリガリこそが横綱になる条件なのよ」という彼女の持論には根拠がある。スポーツ全般器用にこなす元ボクサーの目を通すことで相撲という競技の特殊さが浮き彫りに。わんぱく相撲出身の太っちょ兄弟子との対比も効果的だ。
原作は相撲経験者で、作画担当も相撲好き。連載までには紆余(うよ)曲折あったらしいが、そのぶん練られたキャラと構成が生きている。桜子が繰り出す妙な課題も狙いがわかれば納得。読めばきっと相撲を見る目が変わるだろう。=朝日新聞2019年1月12日掲載
編集部一押し!
-
インタビュー 槇村さとるさん「ダンシング・ゼネレーション senior」インタビュー 素敵な人じゃなくて、生身の人を描く「少女」マンガ 横井周子
-
-
本屋は生きている たびたび書店(兵庫) 出版社勤務、教員、介護職員を経た店主がつくる、人が自然に滞在する空間 朴順梨
-
-
本好きのための職業図鑑 背筋さんが語る職業としてのホラー作家 「誰かの死」扱っている事実 忘れず 朝宮運河
-
小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。 新潮新人賞・有賀未来さん 冷笑しない18歳「戦争もアイデンティティも、小説はわからなさを受け止める手段」 清繭子
-
トピック 未開の研究分野に挑戦し続けた日本語学者・山口仲美さん 著作集別巻『日本語の問題』刊行記念インタビュー PR by 風間書房
-
インタビュー 原田ひ香さん「#台所のあるところ」インタビュー ハッシュタグのつながりの奥に広がる、ままならない人生 樺山美夏
-
トピック 【PR 光文社・創英社・みすず書房・ミネルヴァ書房】プレゼント 朝日新聞1面広告の本、好書好日メルマガ読者計20名様に
-
コラム 「海をわたる言葉 翻訳家ふたりの往復書簡」中江有里さん書評 出逢いの不思議が生んだもう一つの〝家族〟 PR by 集英社
-
トピック 【プレゼント】柄谷行人さん最新作「私の謎 柄谷行人回想録」好書好日メルマガ読者10名様に PR by 講談社
-
インタビュー 平石さなぎさん「ギアをあげて、風を鳴らして」インタビュー 描いてわかった「シスターフッド小説」の魅力 PR by 集英社
-
インタビュー 江國香織さん「外の世界の話を聞かせて」インタビュー 頭の風通し良く、気持ちさっぱり自由になって PR by 集英社
-
インタビュー 【サイン入り本プレゼント】一木けいさん「嵐の中で踊れ」インタビュー 避難所で起きた再生の群像劇 PR by NHK出版