最近はゆるキャラの名付け親として語られることも多いみうらじゅん。だが、ヒットの陰にはみうらだけが執着してきた様々なモノが渦巻いている。『マイ遺品セレクション』(文芸春秋・1404円)は、そんな“癖(へき)”の数々をコンパクトにまとめた一冊。
「世はやれ断捨離だとか終活だとか、ものを少しでも無くしていく風潮にあるが、長年に渡りつけてしまった癖はそう易々(やすやす)と直らない」。町中の看板から般若心経にある漢字を集めて構成した「アウトドア般若心経」やカニの写真が載った旅行パンフレット「カニパン」、極端に本数の少ないバスの時刻表「地獄表」など、本人も「なぁーんの価値もない」と認めるものばかり。
でも、「そこがいいんじゃない!」(ファンにはおなじみのフレーズ)。効率や生産性とはまるで逆の精神性だ。小学校の絵日記から10代で書いた詩、親孝行まで、寺山修司ばりに自分を見せ物にしてきたが、いよいよ「遺品」で来たか、と思う。もちろん、長生きしてまだまだニヤニヤさせてほしいのですが。(滝沢文那)=朝日新聞2019年3月2日掲載
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