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「BLAME!」を読むと海を見ているような感覚になる プロクライマー・大場美和さん(前編)

文:福アニー、写真:樋口涼

淡々と旅を続ける不屈の精神を見習いたい

 ミステリアスな登場人物に少なすぎるセリフ、無機質で圧倒的な背景、グロテスクなアクション描写が印象的なSF漫画『BLAME!』。「校舎をよじ登る女子高生」のCMやサッカーレジェンド・三浦知良選手との「リポビタンD」のCMも記憶に新しいプロクライマーの大場美和さんがこの漫画を選んだのは、正直意外だった。

 「そうですか? 私、SFが好きなんですよ。おばけ系はダメなんですけど、スプラッタ系の描写も大丈夫ですし。最初はすごい人気ではやっていたから、作者の弐瓶勉さんの『シドニアの騎士』をリアルタイムで読んでいたんです。それがおもしろかったので、ほかの作品も読んでみようと思って『BLAME!』を読んだら、『なにこれ、めっちゃおもしろい!』って一気読みしました。

 とくにグッときたのは、読んでも全然わからないところ。『どういうこと? どういうこと?』って思いながら最後まで読み進めていってもよくわからない(笑)。作中では『2244096時間後』のような途方もない数字が出てくるんですけど、それって結局どれくらいの時間が経っているんだろうって想像するだけでも楽しめます」

 難解なストーリーだけに、読者が自由に解釈できるところも『BLAME!』の魅力だ。

 「自分なりの解釈としては、最終巻の一番最後のページで主人公・霧亥の横にカプセルに入った子がいますよね。その子が彼が探し求めていた『ネット端末遺伝子を持つ人間』なんじゃないかな。ようやく汚染されていない場所に辿り着いて、その胚が成長して、生まれてっていう。

 『BLAME!』は、とくにこのシーンのこのセリフで感動して、というわけではないんです。本当に壮大な物語だから、読んでいると没頭できるし、海を見ているときみたいな感覚になれます。落ち込んでいるときに読むと心が洗われるというか、細かいことがどうでもよくなりますね。

「BLAME!」6巻、P38より ©弐瓶勉/講談社

 好きなキャラクターは、管理AIのメンサーブとその護衛のセウです。ふたりとも目的のために自分を犠牲にしてがんばってるのがいいなと思いました。あと霧亥と行動を共にする科学者のシボは何回も死んでるし、霧亥も普通だったら死んでるでしょって展開がいっぱい出てきますよね。でも本当に淡々と旅を続けていくので、その不屈の精神は見習いたいと思います。腕が切れても動じない。俺の腕あったら拾っといて、みたいな感じですからね(笑)」

 無限に増殖し続ける階層都市の内部を描くために、巨大建造物の壁もたくさん出てくる本作。クライマーとしてはつい登りたくなってしまうのでは?

 「確かに! そのワクワクもあるかもしれないですね。大きな崖とか見ると、『これ登れるかな?』ってものすごくときめきます(笑)」

SFの魅力はとにかくワクワクできるところ

 2003年に連載が終了した『BLAME!』だが、17年にはそれをもとにした劇場アニメも公開されている。

 「映画は映画でおもしろかったですね。漫画の一部をクローズアップして脚色したものだから、別物として観るといいかもしれません」

 漫画や小説が好きという大場さん、どんなときに読みたくなるのだろうか。また、『BLAME!』以外のおすすめも聞いてみた。

 「本はまったく違うことを考えたいときや、リフレッシュしたいときに読みますね。やっぱりSFアクションが多いです。漫画だと、なかなか進まないですけど冨樫義博さんの『HUNTER×HUNTER』とか、広江礼威さんの運び屋の物語『BLACK LAGOON』とか、青年漫画をよく読みます。小説だと『ブレードランナー』の原作であるフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』や、ジェイムズ・P・ホーガンの『星を継ぐもの』がめちゃめちゃ好きです。SFの魅力は、とにかくワクワクできるところですね」

>後編「その場で出会った壁はそのときしか登れない」はこちら