令和の時代を迎え、昭和はますます遠くなった感があります。しかし戦後の占領政策は、いまだに日本社会を苦しめていると著者は主張します。
その代表例として挙げているのが固定資産税と相続税。何の利益も生まない空き家や放置林にも固定資産税は課税されます。そして、莫大な相続税を払うために切り売りされた国土は荒れ、互助的な家族制度が崩れたと記しています。
しかし、著者は嘆くだけではありません。国が特別会計企業をはじめとする国有財産を売却し公務員の数を減らせば、所得税と法人税だけで日本の国家資金を賄えるというのです。
大胆なアイデアの根底には、まじめに働く人が報われる社会を再建したいという義侠心がうかがえます。
定価1200円+税 文芸社 03・5369・2299