「服が売れない」と言われる昨今。バブル期に15兆円あったアパレル市場は、約9兆円に縮小した。さらに、2030年には7兆円を割り込み、企業数も半分程度に減ることが予想されるという。
だが、それはあくまで国内市場の話。世界的に見るとアパレルは成長産業であり、迫りくる構造変化の波を好機と捉えれば、日本企業も勝ち組になれると本書は説く。
著者は、業界のトップコンサルタント。生き残りに必須なのは、デジタル化とグローバル化であり、日本らしさといった「独自性」の追求を武器にせよと提言する。
つまり、ジリ貧の国内市場にしがみつき、旧来のやり方で消耗戦を続ける大手アパレルは、早晩淘汰(とうた)されるということ。こうした企業が扱う中間価格帯の需要はしぼみ、市場は「ラグジュアリー」と低価格の「マスボリューム」に二極化すると著者は見る。
重要なのはデジタル化がもたらす「本質的変化」を理解することか。AI(人工知能)を活用したデジタル・ファストファッションや受注生産と大量生産を両立させたマス・カスタマイゼーションなど、最新動向を紹介しつつ、次の10年がラストチャンスだと日本企業に変革を促す。=朝日新聞2019年8月3日掲載
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