日本文学研究者である著者が、デビュー50周年を迎えた井上陽水の、初期の代表曲から陽水を象徴する曲まで厳選50作の歌詞を英訳。著者は命に関わる病で入院中に、この大仕事を思いついたと言います。
陽水の歌詞の多くは、イメージを喚起させる言葉を組み合わせて、独自の世界を形作っています。それらを英語に置き換えるため、いったん細かく分解することで、陽水自身の深い目論見が見えてきます。
本書には、そんなスリリングな作業の過程も収録。いわば日本人のための英訳詞集であり、同時に優れた陽水論にもなっています。ラジオでの貴重な対話も収められ、陽水自身のこだわりや心情が紹介されます。広大な言葉の海に漂う快感を味わえます。
定価2700円+税 講談社 03・5395・4415