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「クィア・アイ」のファッション担当タン・フランスのエッセー集「僕は僕のままで」 人と違う、受け入れた軌跡

 人生に行き詰まった男性たちを、美に精通したゲイたちがイメチェンさせるネットフリックスのリアリティー番組「クィア・アイ」。日本に出張収録した最新シーズンが公開され話題を呼んでいるタイミングで、ファッションを担当するタン・フランスのエッセー集『僕は僕のままで』(集英社・2310円、安達眞弓訳)が邦訳された。英国のパキスタン移民3世としていじめと差別にさらされた少年時代や、服飾に情熱を見いだしていく青春時代を赤裸々かつユーモラスにつづる。
 人種差別は日本では関心が低い。だからこそ本書を邦訳したいと、1章を自ら訳し始めた編集者の熱意で刊行に至ったという。原題はNaturally Tan(生まれつき日焼けしてる)。浅黒い肌を「これが自分」と受け入れた彼の人生経験が、外見だけでなく依頼者たちの内面に触れていく番組の真摯(しんし)さを可能にしているのだと思い至る。(板垣麻衣子)=朝日新聞2019年11月16日掲載