3年前に事故で父親を亡くした15歳の山田龍一朗。会社勤めの母を助け、幼い三つ子の妹の面倒を見る高校1年生です。料理好きだった父に似て、龍一朗も料理上手。一家の食事担当はもちろん、スーパーの安売り広告をチェックし、家計簿もつけるしっかり者です。
とはいっても、慌ただしく過ぎる日々に、友達関係や将来への不安など、青春の悩みはてんこ盛り。そんな龍一朗を中心に、三つ子それぞれの成長や、亡き夫への思いを断ち切れない母の日常が細やかに描かれます。
第1回「おいしい文学賞」を受賞しただけあって、料理のシーンも臨場感たっぷり。誰もが未熟だからこそ、助け合って生きていく。明日への勇気が湧いてくる家族と青春の物語です。
定価1600円+税 ポプラ社 03・5877・8101