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「日本のカエル48 偏愛図鑑」 両生類界の“会いに行けるアイドル”!?

迫野貴大「日本のカエル48 偏愛図鑑」(河出書房新社)より

 身近な生き物ほど、実はその生態についてあまり知らないことが多い気がします。前回紹介した「おどろきダンゴムシ図鑑」に続き、今回注目するのはそんな身近な生き物の一つ、カエルにスポットを当てた「日本のカエル48 偏愛図鑑」です。

 本書は、現役の東大大学院生である迫野貴大さんが日本のカエル全48種に会うために全国を旅したフィールドワークを元に、それぞれのカエルの生態や見た目の特徴などをまとめた一冊。日本に生息する在来種のカエルを“探しやすさ別”に分類し、写真と自筆イラストに迫野さんならではの愛情たっぷりの解説文が添えられています。生きものが大好きだった幼いころの自分に向けて書いたと言うだけに、とても読みやすく、自然とカエルに親しみがわいてきます。

 カエルは色や形などの見た目はもちろん、鳴き声も実はさまざま。カエルの鳴き声というと「グェッグェッ」「ゲゲゲッ」「ゲロゲロ」などが代表格ですが、長野県の根羽村に生息するネバタゴガエルは「キャンキャン」「ワン」とまるで犬のように鳴くんだとか。半信半疑で鳴き声をどうしても聞きたくなり、ネット検索して動画で確認してみたところ、まさに「ワン」という鳴き声。一聴の価値ありです。

迫野貴大「日本のカエル48 偏愛図鑑」(河出書房新社)より

 カエルたちの豊かな個性に気づくと、不思議と本物のカエルたちに会いたくなってきます。カエルを探す際のポイントも掲載されているので、本書を片手に近所の公園や水辺にフィールドワークへと出かけてみるのもおすすめです。「〇〇ガエル」と認識する瞬間、ただの「カエル」から特別な「推しガエル」が出てくるのかもしれません。