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山内マリコさん「The Young Women's Handbook 女の子、どう生きる?」インタビュー 偏愛で見つける自分自身

山内マリコさん=本人提供

 「ピカピカの肌をして、消費の海で半分溺れながら、人生への期待と不安、恋の喜びと失望で頭がいっぱいで、不器用で、自信がなくてちょっぴり孤独な、25歳の女の子」に贈る言葉を本に詰め込んだ。

 女性ファッション誌「JJ」の特集テーマに合わせて、同誌に書いたエッセー集。服、美容、旅、結婚……。雑誌はどう生きるかのお手本となり、読者を洗脳する力すら持つ。だからこそ、「愛読しながらも、振り回されて疲れてしまう。そんな子に読んでもらえたら」と話す。

 執筆は自身のあのころの感覚を掘り起こす作業でもあった。20代は2000年代。ギャル文化とともに個性的な女子が支持された90年代から一転、女性誌は「モテ」の全盛期に。「男ウケ」や当たり障りのない上品さがもてはやされた。流行に踊らされ、苦心した。

 ちょうど25歳のとき、「作家になろう」と決意し東京へ。でも仕事がない。「自分を見つけたい、つかみたい」ともがきながら、フラフラと映画館に通い、名画座でみた若尾文子に魅了された。

 同じ今を生きる25歳の女の子にすすめる一つは「偏愛」。自分のことはわかっているようでよくわからない。理屈抜きで強烈に愛するものを通し、自分を見てみる。「それらはみんな、お守りみたいに、あなたの心を強くしてくれるはずです」

 自宅で過ごすことが多い今、ギターを始めたそうだ。「根っからの文系なので自宅好き。本や映画をみて、ときどき舞台や美術館に行く。それが私ですね」

 このコロナ禍で、彼女たちは何を考えているのかと思いを巡らす。「これからを変えていくチャンスのときでもあるから。対策する大人が右往左往する姿をみて、社会をどう捉えているのかな」。興味がある。(文・森本未紀 写真は本人提供)=朝日新聞2020年7月11日掲載