1. HOME
  2. トピック
  3. 「わたしの好書2020」読者からのツイートを紹介 昨年のイチオシ本はこれだ!

「わたしの好書2020」読者からのツイートを紹介 昨年のイチオシ本はこれだ!

小説

『クジラアタマの王様』(伊坂幸太郎、NHK出版、2019年)

 製菓会社に寄せられた一本のクレーム電話。広報部員・岸はその事後対応をすればよい……はずだった。訪ねてきた男の存在によって、その平穏な日常は思わぬ方向へと一気に加速していく──。不可思議な感覚、人々の集まる広場、巨獣、投げる矢、動かない鳥。打ち勝つべき現実とは、いったい何か。(NHK出版ウェブサイトより)

 新型インフルエンザが広まって、不要不急の外出は控えましょうっていうのが、妙に今とリンクして、これが2019年に書かれた小説だと思うと、不思議な気持ちになった1冊。人間を動かすのは、理屈や論理よりも、感情。と、ムード。(ちーさん♡ムードトラッカー配信中さん)

>伊坂幸太郎さん「クジラアタマの王様」インタビューはこちら

『言の葉は、残りて』(佐藤雫、集英社、2020年)

 第32回小説すばる新人賞受賞作。海沿いの地にある鎌倉幕府。若き三代将軍・源実朝のもとに、摂関家の姫・信子が嫁いでくる。突然の縁談と異国の地に不安を覚える信子だったが、実朝の優しさと生まれて初めての海の匂いに包まれ、次第に心をゆるしていく。しかし、殺戮さえいとわない醜い権力争いが、ふたりを否応なく悲しみの渦に巻き込んでいく――。(集英社ウェブサイトより)

 源実朝を主人公にした作品。和歌の情感や武家の美学など、鎌倉時代にどっぷり浸りました。(goda.yさん)

『ザリガニの鳴くところ』(ディーリア・オーエンズ、友廣純・訳、早川書房、2020年)

 ノースカロライナ州の湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。人々は真っ先に、「湿地の少女」と呼ばれているカイアを疑う。6歳のときからたったひとりで生き延びてきたカイアは、果たして犯人なのか?(早川書房ウェブサイトより)

 震えるほどの孤独に、何度か読むのが辛くなりました。湿地という自然、孤独な少女の成長、ロマンス、ミステリーという要素が調和して、とても贅沢な作品になっていると感じました。(Nutsさん)

>作家・柴崎友香さんの書評はこちら

>ミュージシャン・藤巻亮太さんのコラムはこちら

『ブルックリン・フォリーズ』(ポール・オースター、柴田元幸・訳、新潮社、2012年、2020年に新潮文庫)

 傷ついた犬のように、私は生まれた場所へと這い戻ってきた──一人で静かに人生を振り返ろうと思っていたネイサンは、ブルックリンならではの自由で気ままな人々と再会し、とんでもない冒険に巻き込まれてゆく。9・11直前までの日々。オースターならではの、ブルックリンの賛歌、家族の再生の物語。(新潮社ウェブサイトより)

 自他ともに認める本の虫だけど、いつからか登場人物名が海外だと頭がくらくらして読めなくなり、小学校時代にはまったハリーポッターくらいしか読めなくなった(韓国文學は登場人物少なければ可)。そんな自分がこの本を手に取ったのは、一番好きな作家村上春樹さんの著書巻末の紹介文で、柴田元幸さんの訳書がどれも面白そうだったから。意を決して読み始めてみたら……あれ?読める。しかも……面白い!!「ポール・オースター著柴田元幸訳」をもっと読みたい、がきっかけで「アレルギー」がほぼなくなり、おかげでジョージ・ソーンダース(岸本佐知子訳)『十二月の十日』という、「文学なんだけどライトノベルや漫画を凌ぐ爆笑表現、でも、深い読後」という傑作に出会えた。きっかけを作ってくれた1冊を。(雨犬さん)

>作家・小野正嗣さんの書評はこちら

エッセー

『父と子の絆』(島田潤一郎、アルテスパブリッシング、2020年)

 「日曜日の昼に、生後七日目の赤ん坊がぼくの家にやってきた。それから、人生がガラリと変わった」──ひとり出版社・夏葉社を吉祥寺で営み、『古くてあたらしい仕事』『本屋さんしか行きたいとこがない』などの著作にもファンの多い島田潤一郎が、幼きものに寄せるあたたかな眼差しと言葉たち。(アルテスパブリッシング・ウェブサイトより)

 通りすぎてしまったら忘れてしまうような、子育ての、しんどさ、たいへんさ、うれしさ、楽しさが、臨場感たっぷりに綴られている。子どもへの想い、愛おしさにあふれていて、穏やかな気持ちに導かれるので、今夜も就眠前に手にしてしまう。(Keiko Miyoshiさん)

>島田潤一郎さんが選んだ、働くことについて改めて考えるための本はこちら

『どすこいな日々』(関取花、晶文社、2020年)

 音楽活動とともにラジオのパーソナリティ、バラエティ番組出演など、幅広く活躍中の関取花の書き手としての魅力が詰まった一冊。幼少期のエピソードから大好きな本について、音楽を生み出す際の苦労などのよもやま話を時に抱腹絶倒、時に哀愁漂わせ、喜怒哀楽たっぷりの文章でつづる。ついつい毎日開きたくなる、日用品のようなエッセイ集。(晶文社ウェブサイトより)

 歌も好きですが、ラジオのパーソナリティーで発揮していた愛らしさを本書でも存分に発揮していて、病院の待ち時間に笑いを堪えるのに必死でした。(Soba Pansanさん)

>関取花さん「どすこいな日々」インタビューはこちら

『拾われた男』(松尾諭、文芸春秋、2020年)

 自販機の下で航空券を拾ったら、人生が動き出した――。振られた回数13回、借金地獄や数々の失敗を経て掴んだ、恋と役者業。個性派俳優・松尾諭による波瀾万丈「自伝風」エッセイ!(文芸春秋ウェブサイトより)

 ドラマ・映画に欠くことができないバイプレーヤーである著者のエッセイ風自伝。酒で人生をダメにしかけたり、借金地獄にはまったり、失恋連敗記録を更新し続けた雌伏の日々から、最愛の伴侶との出会い、ドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」のメインキャストへの抜擢。そんな、ドラマティックな日々が描かれています。人を愛し、人に愛され、時に道を逸れそうになりながらも、まっすぐに生き抜いてきた著者に「カッコいいじゃん。」と声をかけたくなる1冊でした。(たかくさん)

>松尾諭さん「拾われた男」インタビューはこちら

『奇妙な星のおかしな街で』(吉田篤弘、春陽堂書店、2020年)

 飲んだり、食べたり、悩んだり、遊んだり、聞いたり、買ったり、作ったり、探したり、夢見たり、想ったり、旅したり、読んだり、書いたり、笑ったり、考えたり、思い出したり、忘れたり…この星の、この街で書いた、エッセイ集。(春陽堂書店ウェブサイトより)

 奇妙な星は、地球。おかしな街は、東京。そこで暮らす著者のエッセイ集です。大きなドラマがおこるわけではないけれど、文章がじわじわと染みてくるようで、これが滋味というものかと思いました。(唐桃さん)

こんな本も

『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』(大谷崇、星海社、2019年)


 「ペシミストたちの王」シオラン。この陰鬱な思想家の思索と執筆は、つねに厭世的なことがらに捧げられてきた。怠惰、死、自殺、憎悪、衰弱、病気、人生のむなしさ、生まれてきたことの苦悩……。ことほどさように、シオランは「暗い」。しかし、あるいはだからこそ、彼の清々しいほどに暗い言葉の数々は、生まれ生きることに苦しみを抱く私たちが人生を楽にし、生き延びるために役に立つ。本書は、気鋭のシオラン研究者が、彼の言葉と時に批判的に伴走しながらその思想をひもといた、待望のモノグラフである。(星海社ウェブサイトより)

 学校の教科書とかに載せれば、未来有望の若者がどんどんアカデミックの世界に引き込まれるだろう…むにゃむにゃ。そのぐらい強烈な書だと思います。(ゆきさん)

>作家・金原ひとみさんのレビューはこちら

『「食べる」が変わる 「食べる」を変える』(ビー・ウィルソン、堤理華・訳、原書房、2020年)

 「食」は喫煙や飲酒よりも恐ろしい「死のリスク第1位」。豊かに見えて実は貧しい現代人の食の構造を検証し、しかし単純な善悪論や完璧主義に陥ることなく、「普通」に食べる大切さを世界的なフードジャーナリストが指し示す。(原書房ウェブサイトより)

 食と健康の問題は自己責任とされがちだけど、それって本当?加工食品企業の台頭や食事時間の減少、購入手段の多様化…。この問題を社会の目線から見たいあなたにオススメ。(PONSKEさん)

『ものがたりの家―吉田誠治 美術設定集―』(吉田誠治、パイ インターナショナル、2020年)

 物語に出てくるようなユニークな家とその設定を描き、人気を博した吉田誠治の同人誌『ものがたりの家』の決定版が登場!! 既刊『ものがたりの家 I・II』に掲載された全作品に加え、新作15作品、コマ割り絵本、線画、作品解説、メイキングなど、本書初公開となる内容も収録。ページをめくる度に新しい物語が始まるような、見て、読んで楽しい美術設定集です。(パイ インターナショナル・ウェブサイトより)

 どの家もかわいく、それぞれのおうちの上から下まで探検したり住民たちとのおしゃべりを夢想できる、ものがたりのタネがいっぱい詰まった本です。(ささきけいなさん)