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むんこ「出会ってしまったツルとカメ」 距離探る2人、コマの間合いに味わい

 高校生が主人公のラブストーリー。2人がお互いの距離を探り合い、徐々に近づく展開が2巻にわたってじっくり描かれる。と書くと、ありがちなメロドラマに聞こえるが、実際の内容はボケツッコミの漫才のようなお笑いが炸裂(さくれつ)する4コママンガだ。

 4コマというと短い中でオチがついて終わるものが一般的だが、連作によってゆったりとしたペースの長編になるタイプのものもある。この作品も3年間の連載を通じて、2人の変化をじっくり腰を据えて描いた息の長いドラマだ。それでいながら、1本1本のマンガはしっかり笑いを取りにいく展開。ギャグのツボをおさえた著者の職人芸的な技がさえている。4コマギャグの醍醐(だいご)味ともいえる、コマとコマの間合いの楽しさを味わっていると、いつの間にか人間関係の微妙な間合いにハラハラさせられている。

 恋愛がらみのシリアスな展開が直接的には描かれない一方で、まるで照れ隠しのように強烈にはじけるギャグ。だからこそ、その向こう側にある本音が見え隠れする。その距離感の慎(つつ)ましさが、心地よい。川柳を続けて読んでいたら、いつの間にか濃密な長編ドラマに引き込まれていたような、充実した読後感だ。=朝日新聞2021年1月16日掲載

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