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【検定百景#36】入浴検定:ちょっとした心がけで、お風呂ライフを豊かに

文:若林良 絵:Getty Images

問題1

体温が正常値より1℃下がることで落ちるといわれる生理機能のうち、正しくないものを1つ選びなさい。

1. 免疫
2. 体内酵素の反応
3. 食欲
4. 基礎代謝

 私は体温が低め(35℃台)なことも多いのですが、確かに冬眠のイメージ然り、体が冷たくなると動きが鈍くなったり、負の側面が大きそうな感じがしますね。この4つの選択肢の中で、ひとつだけ「落ちる」ことが自身で実感できるものがあったので、これかな?と思ったら、正解できていました。

 しかし、「正常値」ってどのくらいなんだろう?考えるとよく知りません。そこで改めて調べたところ、日本人の一般的な正常値は36.6℃~37.2℃前後で、平熱は平均36.89℃ということです。意外に高めですね。ただもちろん個人差はあり、また代謝の高い子どもは体温が高めで、逆に代謝の低い高齢者は体温が低めのようです。ともあれ、自分の平均的な体温を知っておくことは大事ですね。

問題2

次の記述が正しい場合は〇、正しくない場合は×を解答欄に埋めなさい。

(  )「五右衛門風呂」は、江戸時代に関東地方のみで家庭風呂としてよく使われたスタイルである。

 五右衛門風呂。私も温泉などで入ったことがあります。かの大泥棒、石川五右衛門が釜茹でにされたことからのネーミングですね。となると、彼が処刑された土地から考えると……と回答したところ、正解していました。

 石川五右衛門が処刑されたのは江戸時代がはじまる少し前でしたが、江戸時代になり、「銭湯」が広く普及していき、風呂に入ることは庶民のあいだでも一般的になりました。そう考えると、やはりいまの日本の風呂文化を知る上では、こうした歴史問題も欠かせないですね。

毎日お風呂につかるのは日本だけ?

 「日本の風呂文化は独特です」と語るのは、検定を運営する日本入浴協会で理事を務める古谷暢基さん。「毎日のように浴槽につかってお風呂を楽しむのは、紀元前のローマ帝国などではあったようですが、現在では世界的に見ても日本だけです。これは健康にも大きなメリットがあります」

 では、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。「たとえば、体温が上がることによって血行や新陳代謝が良くなります。また、がん細胞の増殖を抑えることや、肩こりや頭痛などの症状をやわらげることにも確かな効果があります」

 ただ、入浴には気を付けないといけない側面もあるようです。「浴室と脱衣場に温度差があるのは危険ですね。たとえば冬に、脱衣所で暖房がきいていないような状態だったりすると、風呂あがりに心筋梗塞などにつながる恐れがあります。若い人はそんなに問題ないと思うんですけど、中高齢者の方だと、温度差には気を付ける必要はあります」。そこで入浴検定ではただの雑学ではなく、危機管理も含めた正しい入浴方法や、入浴剤の効果的な活用方法など、実践的な知識に重きを置いていると語ります。

 「そんなに本格的にはならなくても、日常のちょっとした意識から入浴ライフが変わることは多いです」(古谷さん)。たとえば、浴槽には短時間ではなく、10分から15分しっかりつかるようにするだけで、健康状態は良い変化が見込めると言います。

 江戸時代の俳人・小林一茶の句には以下のようなものがあります。

 「盥(たらい)から 盥へうつる ちんぷんかん」

 生まれたときは産湯、死んだときは湯灌(ゆかん)、その間を行き来する人生とはいったい何なのだろう、という意味になりますが、つまり、それだけ人生において、湯につかることは身近なことではあります。

 ちょっとした心がけで入浴ライフのみならず、今後の健康や人生についても、実りあるものにできるのではないでしょうか。

 それでは最後の問題にチャレンジ!

【問題3】

温泉について述べた次の文章のうち、正しくないものを1つ選びなさい。

1. 療養泉と定められているものが10種類ある。
2. 有効成分がまったく含まれない真水でも温泉と認定される場合がある。
3. 塩化温泉は別名「泡の湯」といわれる。
4. 硫黄泉・酸性泉の他の泉質にない適応症として「アトピー性皮膚炎」がある。

【正解】問題1=3、問題2=×、問題3=3