自分へのご褒美に、ひとり飲み
――まずは大政さんが原作を読んだ感想を教えて下さい。
メイは仕事をしている時は完璧に仕事をこなすキャリアウーマンですが、夜になると仕事の疲れを癒すために、チェーン店に行ってひとり飲みを心から楽しむ、そのギャップがかわいらしいなと思いました。私も仕事終わりに美味しいご飯を食べるのが楽しみなのですが、原作を読んだ後「ひとり飲みでストレスを発散したり、その時間を楽しんだりしている女性はきっとたくさんいるんじゃないかな」と思ったんです。
今はこういうご時世なので、なかなか友達と集まってご飯を食べに行くことができないですが、この漫画がドラマになったことで「一人でもこんなに楽しいんだ!」ということを多くの方に思ってもらえるんじゃないかなと思います。
ドラマでは「天丼てんや」や「餃子の王将」など実在のお店が毎回出てくるのですが、原作では店名をちょっと変えているので「実在するチェーン店はここなんじゃないかな?」と想像しながら読むのも楽しいですね。
――メイの食べっぷり、飲みっぷりには見ている方もほっこりしますが、仕事でピンチになった時に機転を利かせて乗り切るなど、メイの仕事ぶりについてはどんな印象を持ちましたか?
尊敬の気持ちしかないですね。メイは自分のことはもちろん、常に周りの人たちを気にかけているから、きっと色々な所に配慮できるんだろうなと思いました。自分一人で考えて、自分で答えを出して進んでいるので、そこはすごく彼女の強みだと思います。メイだって悩むことはあるけど、友達や仕事仲間だからこそ言えなかったりすることもあると思うんですね。一人で抱え込みすぎているから時には弱音を吐くこともあるのですが、その気持ちは私も分かるし、ストレス発散のためや自分へのご褒美にひとり飲みを楽しむところに、メイの人間味が出ているなと感じました。
――メイの決めゼリフ「なまらうみゃ~(「とても美味しい」という意味)」の「なまら」は大政さんの出身地・北海道の方言で「とても」という意味だそうですが、ご自身は日常会話で使っていましたか?
中学生までは友達との会話でも普通に使っていましたよ。わざと、と言ったらおかしいですけど、あえて使っていたイメージがあるんですよ。方言だと分かっていて「“なまら”っていいよね」って使っているという印象なんです。このドラマで久しぶりに言ったので、懐かしかったですね。
原作に描かれる細かい動作に注目
――今回のように漫画原作がある作品の登場人物を演じる場合、何か心がけていることはありますか?
小説もそうですが、漫画原作がある場合は、その作品の世界観をまず一通り自分の中に入れられる。人によって読み方が違うと思うので偏る部分もあるかもしれないけど、その世界観が先に入ることによって台本も読みやすくなると思います。例えば、その人の癖みたいなものが原作で描かれていたら、「この動作をちょっと取り入れてみよう」といった細かい気づきがあるので、そういうところに注目しながら読むこともありますね。
今作の場合は、何といっても「なまらうみゃ~」のセリフと共に、メイが縮んで小さくなるというシーンがドラマではどうなっているのか、皆さんも気になるところだと思うのですけど、出来上がった作品を見て「ちゃんと縮んでいる!」って感動しました。
――コナリさんの他の作品を読んだことはありますか?
『凪のお暇』を読んでいました。今回のドラマをやらせていただくことが決まってから『ひとりで飲めるもん!』を読ませていただいたのですが、私の中ではコナリさんといえば『凪のお暇』のイメージだったので、今作はまた違う世界観で、最初は驚きました。コナリさんの作品は作風や内容がそれぞれ違うけど、絵のタッチは一貫していて、すごくかわいくてチャーミングですよね。
――他にはふだん、どんな本を読みますか?
撮影中はあまり読まないのですが、私は料理本が好きで、物語を読むように料理本を読むことが結構あるんです。本の中に出ているレシピを実際に作ることもありますし、20歳くらいの頃に料理本をたくさん買って、眺めたり熟読したりしていました。
20代前半の頃はまだ料理もあまりできなかったので和食系の本が多かったんですけど、最近はイタリアンや韓国料理、ちょっとしたおつまみ系やおもてなし料理など、色々なジャンルの料理本を買うようになりました。自粛期間中はオーブン料理にハマっていたので、オーブン料理の本ばかり見ていました。
――メイは店内の人たちを気にすることなくひとり飲みを謳歌していますが、大政さんがひとり飲みするときの楽しみ方を教えてください。
私は一人で飲む時は、おつまみとお酒のミックスを大事にするようにしています。どうせなら美味しいものが食べたいし、美味しく飲みたいので、簡単なものを自分でさっと作ることもあります。この前、実家の北海道からジャガイモが届いたので、蒸かしたジャガイモにバターと塩辛をのせて日本酒を飲んだ時はすごく幸せでした!
――作ることも、食べること・飲むことも好きな大政さんにとって、「美味しいもの」や「日々の食」はどんな存在でしょうか。
毎日の楽しみですね。私は「美味しいものじゃなかったら食べなくていい!」くらい食に貪欲なところがあるんですよ。別に高級なものでなくてもいいんです。私はおにぎりが大好きなので、朝食のおにぎりが1日の中ですごく大事で、夜はもちろんですけど、朝ゆっくり家でごはんを食べる時間があったら、もうそれだけで幸せです!