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発見に満ちた「氏名の誕生」など注目の新書5選

「氏名の誕生」

 人名は「氏」と「名」からなり、氏は先祖代々の家のもの、名は親が付けてくれるものという現代の「常識」は、江戸時代にはなかった。王政復古の混乱後、明治5年に「氏名」という形が生まれる。夫婦同姓は明治31年の民法以後のこと。近世史研究者がその経緯を丹念に追った、発見に満ちた一冊。
★尾脇秀和著 ちくま新書・1034円

「スペース・コロニー 宇宙で暮らす方法」

 過酷な環境の宇宙で人間が暮らすためにはどうすれば良いのか。食料や水、エネルギーを作る方法や、閉鎖環境が人間に与える影響などについて、技術開発の最前線とともに詳しく解説する。
★向井千秋監修・著、東京理科大学スペース・コロニー研究センター編・著 講談社ブルーバックス・1100円

「プロイセン王家 12の物語」

 欧州の王家を「名画で読み解く」シリーズの第5弾。ドイツの原型を築いた217年の愛憎を描く。政略結婚、親子対立、暗殺疑惑なんでもあり。ポーランド王にひざまずくプロイセン公、第1次世界大戦で初使用された毒ガスを浴びた兵士などの絵画が理解を深めてくれる。
★中野京子著 光文社新書・1078円

「若冲のひみつ」

 米国のプライス夫妻が持つ若冲らの作品190点を日本に帰還させたのがクリスティーズジャパン社長の著者。美術品の売り手と買い手が市場を介さずに話を進めるプライベートセールだった。海外コレクターの自宅での査定のやりとり、日本での買い手探しなど「歴史的な瞬間」を語る。
★山口桂著 PHP新書・1012円

「新・いのちを守る気象情報」

 NHKの気象キャスターによる、8年前の前著の改訂版。大雨や台風、地震、火山など8種類の自然災害について、事例を挙げながら情報の集め方、避難行動を解説する。気象予報士が利用しているウェブサイトやアプリを紹介。一人ひとりの主体的な判断を呼びかける。
★斉田季実治著 NHK出版新書・968円=朝日新聞2021年6月5日掲載