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BL担当書店員の気になる一冊【2021年6月〜9月の近刊&新刊より】

神様も登場⁉ 奇想天外な日常系ファンタジー(井上將利)

 「最近の気になるタイトル!」ということで、今回は8月にNUUDEレーベルから発売された「うしみつどきどき古書店譚」(東京漫画社)をご紹介します! 作者は「お守りくん」 「二代目! 地獄ブラザーズ」(ともに東京漫画社)でおなじみtacocasiさん。ほのぼのとした日常から奇想天外な展開まで、柔らか~く描いて下さるのがとっても魅力的な方です。

 本作は大学院に通う小宮くんと、彼の下宿先である古書店「二四(にし)書房」の店主・陽蔵さんの2人を中心に描いたちょっぴりファンタジーなお話。アラフォーの陽蔵さんは一見ムスッとして顔は怖いけど甘党で動物に話しかけるなどファンシーな一面もありつつ、体がデカくて短髪&眼鏡という絶妙にツボを押さえてくる渋いキャラクターです。上手く形容できないのですが“おじさん”と“お兄さん”のちょうど中間くらい、いい塩梅を保っている男でして、こういう種族?を正式には何と呼ぶのでしょうか……。誰か教えてください(笑)。

 さて陽蔵さんへの愛を伝えたところで、一方の小宮くんですが、これまた対極を行くフワフワ好青年。根が良い子過ぎて可愛がられる系男子ですね。そんな小宮くんは陽蔵さんが大変好みでして秘かな想いを抱いているのでした。

 そしてある日、店を訪ねてきた不思議な客を応対した陽蔵さんに悲劇が。

 「ちょっとあかん液体かぶってしもたわ」。そう言った陽蔵さんの体が子供サイズに……⁉︎

 実は古書店の傍ら副業で神様専門の質屋業をやっているという陽蔵さん。隣町の山の神様が作った若返り薬の原液を誤って浴びてしまったのです。いきなりの奇想天外な展開&神様登場でびっくりな僕でしたが、小宮くん、小っちゃい陽蔵さんの可愛さを堪能しつつ「守らねば!」とお世話をする順応力の高さ、流石です(笑)。

 ちなみに陽蔵さんの体は夜中の2時に30分だけ元に戻るという怪奇現象があり、着ていた子供服はビリッビリに。これでもかというほどに破れた服を纏う陽蔵さんのエロさを見逃さないでくださいね!

Ⓒtacocasi/東京漫画社NUUDE

 さて、奇妙な状況に陥った2人ですがこの珍事をきっかけに少しずつ距離を縮めていきます。と同時に、会話の節々に感じられる違和感に陽蔵さんの秘め事を感じる小宮くん。そして個性豊かな神様たちも登場し、物語は予期せぬ方向へ……?

 ゆるく楽しく、そして読者を離さないストーリーが詰まった本作を是非読んで頂きたく。「二四書房」を訪れてみてはいかがでしょうか。

「可愛い」が止まらない! 神クラスのギャップ萌え♡(原周平)

 絶え間なく登場する新刊の数々、個性的な作品も多くて楽しい日々です(笑)! そんな中でも、僕の琴線をぎゅんぎゅん刺激してくれたこちら、ゆいつさん「甘えたい獣」(ブライト出版)を紹介させていただきます。

 バイトで‟レンタルおにいさん“をしている新(あらた)。その笑顔と人当たりの良さは周りを常にほわ~と癒してくれます。そんな彼にレンタルおにいさんを申し込んできた初めての男のお客さん、それが潤太でした。バイクで登場して見た目もけっこういかつい感じの潤太が望んだものは、「頭を撫でてほしい」というささやかな依頼。ケンカも強く(でも相手が一方的に殴り掛かってくるのを防衛しているだけ)、学校で一目置かれ、家では小さい弟妹を守るために逞しく生きる裏で、兄のような誰かに甘えてみたいという憧れがあったのでした。

 人に甘えることを知りたいという願いを叶えるために潤太に触れていると、その敏感な反応を可愛く感じた新も煽られていって……!? レンタルというサービスをきっかけに偶然出会い、男同士なんて興味もなかったはずの2人が、兄と弟のような関係から変わっていくお話です。

『甘えたい獣』©︎ゆいつ/ブライト出版

 僕の推しキャラはなんといっても潤太! 男前でちょっと強面で、家では兄として頼れる存在なのに、新の前では素直で乙女なところもあって可愛らしくて、神クラスのギャップ萌えでした。新がグイグイきてくれることも、キスやそれ以上のことをしちゃったことも、レンタルおにいさんのサービスの一環だと思っていたという、実は天然なところもまた可愛い。ひとりベッドで悶々と新との関係について悩む潤太、かっこいいし学校でもモテるだろうに、恋愛に関してはウブでさらに可愛らしさ倍増。何回可愛いと言ったかわかりませんが(笑)、本当にいい子なので、新と素敵な関係になれてよかったね~とほっこりしちゃいました。

 前半は潤太の魅力が際立ちますが、後半は新も負けていません(笑)。とある事件に巻き込まれる潤太を救い出す新のかっこよさはシビれますので、ぜひその目で確かめてください! 新のコンプレックスも明らかになって、この2人、実はお互いをぴったり埋め合う関係だったんだな、と感じました。新や潤太の周りの人たちも、男同士のお付き合いを受け入れて、いろんな初めてに悩みながら進む2人を応援してくれて、優しい世界で素敵です。

 恋人になるまでの上巻、愛情と独占欲が深まる下巻と、たっぷり堪能できました! ゆいつさんの作風や男性キャラの描き方が好きで、これまでもいろいろな作品を読んできましたが、本作は特にキュンキュン要素がてんこ盛りで、お話もクセがないけどドラマチックな展開もあり、と楽しめるので、いろんな方にお勧めしたい作品です!