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シマ・シンヤ作品集「Gutsy Gritty Girl」 寂寞感と生命力、短さ武器に

©シマ・シンヤ/KADOKAWA

 6本の短編を収めた作品集。物語の内容は、現代日本のホームドラマから、海外を舞台にしたもの、近未来世界や宇宙を舞台にしたSFまでさまざま。たとえば、長寿のオウムの目を通じて描かれる飼い主の家族の流転の物語、相棒を亡くした刑事がロボットを新たな相棒にして仕事を続ける日々を描く物語、滅亡しかけた人類が生態系の弱者となった中でたくましく生き延びようとする物語など。それぞれ、短く切り取られた場面の積み重ねからは、必ずしも思うようにならない人の生きざまの寂寞(せきばく)感と、一方でその根底に脈打つ生命力のようなものが同時ににじみ出て、印象深い。

 派手でめまぐるしい展開が詰まっているわけではない。静かで地味な会話劇が中心なのだが、どれにもドラマの奥行きが感じられて、よい短編作品を読んだという充実感が残る。短編といっても、単に短いページ数の読み切り作品ということにとどまらない。短さをうまく武器にして、逆に多くのことを読み手に感じ取らせてしまう魅力を発揮するものもあるのだ。すでに長編作品でも実力を発揮している著者だが、あらためてシンプルで味わい深い短編のうまさにうならされた。=朝日新聞2022年10月1日掲載