1. HOME
  2. おすすめ
  3. 〈オススメ〉海老原嗣生「静かな退職という働き方」

〈オススメ〉海老原嗣生「静かな退職という働き方」

 辞めるつもりはないが出世志向でがむしゃらに働くのではなく、最低限やるべき業務をやる。それが「静かな退職」のイメージだ。2022年に米国で語られ始め、若者を中心に日本でも浸透してきたという。モーレツ社員の気風が根強い日本にこの働き方を「軟着陸」させる方策を探るのが本書だ。

 雇用に詳しいジャーナリストの著者は、世界を見渡せば「静かな退職」は当たり前とデータを挙げて説明。職能等級や賞与にみられる日本型労働システムが忙しさを拡大再生産し、顧客とまじめに向き合う日本的働き方は実はどうでもいい仕事の塊ではないか、と問題提起する。

 「静かな退職者」をまっとうするノウハウや経営への影響、政策のポイントも含め、多角的に論じている。=朝日新聞2025年4月5日掲載