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人生と思想が一つであった姿勢

評伝レヴィナス 生と痕跡 著者:サロモン・マルカ 出版社:慶應義塾大学出版会 ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション

価格:4536円
ISBN: 9784766422870
発売⽇: 2016/02/06
サイズ: 20cm/413,16p

ユダヤ教の中にひとつの哲学的洞察を認め、自らそれを生きた哲学者レヴィナス。彼を結節点とする知的ネットワーク、20世紀ヨーロッパ・ユダヤ精神史をあますところなく描き出した傑…

評者:中村和恵 / 朝⽇新聞掲載:2016年04月03日

評伝レヴィナス—生と痕跡 [著]サロモン・マルカ

 友人や同僚、捕虜収容所の同室者、教え子や師、家族の証言——本人の言葉も引用されるが、むしろ他者が語り、他者から辿(たど)られるレヴィナスの人生と思想。多大な影響を与えた哲学者をこれほどわかりやすく、面白く読めるとは。
 レヴィナスが生まれた20世紀初頭のリトアニアにはユダヤ人に寛容でリベラルな空気があったという。ロシアや東欧の多様な文化が混在し、家での会話はロシア語、6歳からヘブライ語を学ぶ。ブランショ、フッサール、カッシーラー、デリダらとの交友、とくにハイデガーへの複雑な思いは重要。彼の「倫理なき存在論」に対し「存在から脱出して倫理を第一哲学とすること」がレヴィナスの問題だった、とリクールは語る。
 冗談好きで小言が多く、でもつねに気遣いの人だったと教え子である著者はいう。「隣人」パレスチナへの態度をイスラエルに問う発言もあった。人生と思想が一つであったその姿勢を、省みて考えることは多い。