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不思議な実、あったら楽しい 「4ミリ同盟」など 「子どもの本棚」オススメ3冊

「4ミリ同盟」

 この本を読みながら、地球上のどこかに不思議な「フラココノ実」がたわわに実っている島があって、それを食べたくなる人たちが本当に存在するとしたら楽しいだろうなあと、幸せな気持ちになりました。
 主人公のポイット氏が住む街の人たちは、成長していく過程で、必ずフラココノ実を食べたくなるという独特の体質をしていました。ところが、ポイット氏は中年になった今でも、まだその実を食べたことはありません。そのせいで、彼は地面から4ミリ浮いたまま歩いていたのです。他にも同じ歩き方をしている仲間を見つけ、いよいよいかだに乗って島をめざしますが――。「4ミリ同盟」の仲間は、その実を食べることができるのでしょうか。(ちいさいおうち書店店長 越高一夫)
 ★高楼方子著、大野八生画、福音館書店、税抜き1200円、小学校高学年から

「きょう、おともだちができたの」

 はずかしがりやのゆうなちゃんに、はじめての友達ができました。園からの帰り道も帰宅後も、みんなに話したくて、うずうず。「なまえはね、りなちゃんっていうの」。待ち遠しいはずの明日が、夜になるとだんだん心配に。明日も遊んでくれるかな? 短いせりふと豊かな表情、色の変化が、女の子の心の揺れに寄り添います。(絵本評論家・作家 広松由希子)
 ★得田之久作、種村有希子絵、童心社、税抜き1300円、3歳から

「イオマンテ」

 アイヌの熊送りの儀式をめぐる絵物語。少年の家では、父親が仕留めた母熊の子どもを神として大事に育てるが、やがて別れの日がやってくる。詩的な文章と美しい絵が独特の世界をつくり、生命が軽視されることも多い今の時代に、「いのちのめぐみ」を受け取るとはどういうことかを伝えようとしている。(翻訳家 さくまゆみこ)
 ★寮美千子文、小林敏也画、ロクリン社、税抜き2000円、小学校低学年から=朝日新聞2018年4月28日掲載