「あの小説をたべたい」は、好書好日編集部が小説に登場するごはんやおやつを料理し、食べることで、その物語のエッセンスを取り込み、小説の世界観を皆さんと共有する記録です。
今回挑戦したのは、寺村輝夫『こまったさんのカレーライス』。「こまったさん」シリーズの第2作目です。奥付を見てみると、2018年3月で97刷というロングセラー!
「ごちそう」を食べる
主人公は、すぐに「こまった」と言うので、“こまったさん”のあだ名がついたこまったさん。
ご主人のヤマさんから「友だちを連れて行くからごちそうを作ってほしい」と電話がかかってきて、さあ大変! いつものように「こまった」を連発しながら、何を作るかアレコレ悩んだ末に、カレーづくりに挑戦します。ルーが足りなくてスーパーに再び走るのもご愛嬌。九官鳥のムノくんとの漫才コンビのようなやりとりも微笑ましいです。
たまねぎ 十ぷん おにくは 二ふん いためて いためて それから あとは にんじん すって 入れましょう お水を 入れて にたたせて じゃがいも さいごに 入れるのね
ごはんがたけて、ごじまんのカレーライスです。 ていねいにつくった、ごうかばんのカレーです。
「ごうかばんのカレー」なので、お肉は分厚くて食べ応えのある豚肉で、特別感を出してみました。リンゴとニンジンをすりおろすのはなかなか大変ですが、ひと手間かけると、いつものカレーも「ごちそう」になると実感。リンゴとニンジンの甘みと、どこか懐かしさを感じたカレーでした。