天才アラーキーこと写真家・荒木経惟さん撮影による、表紙とグラビアで幕を開けるのが『別冊太陽スペシャル 十代目柳家小三治』(平凡社・1728円)だ。
『昭和元禄落語心中』の作者・雲田はるこさんのイラスト・ルポ「寄席の小三治」、写真家・橘蓮二さんによるルポ「噺家(はなしか)、ある日の午後」、幼いころからの写真の「アルバム帖(ちょう)」と、たっぷり。演芸評論家の矢野誠一さん、落語プロデューサーの京須偕充(きょうすともみつ)さん、俳優の小林聡美さんら、ゆかりの人や弟子たちの文章で、その素顔に迫る。
意外だが当たっている感じがするのは、テレビで対談したというテニスの松岡修造さんの言葉。「初対面の小三治師匠の印象は、“可愛い”でした。同時に、媚(こび)を売らない、噓(うそ)を言わない人だと思いました」
演目紹介、高座記録など、データも充実している。普段聞かれないようなことを聞く、という「142の質問」が楽しい。
「人生のターニングポイントだと思ったのはいつでしょうか?」「しょっちゅうターニングしているからわからない」(石田祐樹)=朝日新聞2018年10月20日掲載
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