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#14 新婚旅行もバックパックを背負って キューバ・ハバナ

どこを切りとっても絵になるハバナの旧市街。シャッターを押す瞬間が夫と一緒だとちょっと嬉しい。

 実は昨夏、結婚をした。夫も大学時代にユーラシア横断をした元バックパッカーだったので、新婚旅行もパックツアーなどは最初から考えておらず、2人でバックパックを背負って、10月下旬から3週間ほど旅に出ることにした。

 最初の行き先はキューバ。なぜキューバかというと、夫の高校の卒業論文がキューバに関する論文だったそうで、昔から一度は訪れたいと思っていたというのが大きな理由だ。私もコロニカルな街並みを一目見てみたいと思っていたので、すんなりと行き先が決まった。成田空港からメキシコシティで乗り換えて、さらにキューバの首都ハバナへ向かう。トランジットも入れると、ほぼ丸1日がかりのフライトだった。

夫が撮った写真。写真を撮ると、いつもちょっと右側が上がってしまうのが、愛おしい。

 やっとの思いでたどり着いたハバナは、不思議な街だった。植民地時代から時が止まったような、もしくは一気にタイムスリップしたような感覚に陥る街並み。古いアメリカ車が普通に走っているし、チェ・ゲバラやカストロを始めとする革命の英雄たちの存在が確かに感じられたし、街の至る所に革命の痕跡が残っていた。

 ハバナの旧市街にある革命博物館。革命に使われた車や戦闘機、革命軍がバティスタ政権を倒すためにメキシコからキューバに密航した際に使用した船「グランマ号」などが展示されていて、多くの観光客で賑わっていた。説明文はほとんどスペイン語表記なのだが、基本的な史実が頭に入っているので、夫は展示にいちいち大興奮。それに対して私はある程度の関心はあったが、勉強不足であることを認めざるを得なかった。

 もちろん夫は色々と分かりやすく解説をしてくれたし(嫌味なく知識を伝えてくれるところが彼のいいところだ)、総合的には楽しい旅だったのだが、事前にもう少し勉強をしてから来るべきだったと悔いた。極端な話をすれば、同じものを見ていても見えている世界はまるで違うわけだ。ただの紙切れと見るか、歴史的な史料と見るか。そんな感じで。知識があるのとないのとでは、旅の密度が全く違うと痛感した。もし将来子どもが出来たら、「旅を深めたいのなら最低限の勉強はしてから旅に出なさい」と言おうと思う(あぁ実に気づきの多い新婚旅行だ)。

滞在したホステルのテレビ。カストロ、ゲバラと並ぶ革命の英雄、カミーロ・シエンフエゴスの追悼番組と思われる番組を放映していた。

 帰国後、勉強不足だったという反省も込めて、戸井十月の『チェ・ゲバラの遥かな旅』(集英社文庫)を読んだ。チェ・ゲバラが医学を志した学生時代から、ゲリラ戦士となり、ボリビアで殺害されるまでのノンフィクション・ノベルだ。

私は以前と同じ、自分の道を探して旅する自由な一人の人間ですが、今はキューバのために働くことに喜びを感じています。その仕事のせいで妻や子供にもあまり会えませんが、これは仕方のないことでしょう。私の近くには、いつもキューバのことを共に考える友たちがおり、だから淋しくありません。(178ページ)

 旅の時は知らなかった、チェ・ゲバラの人生が、彼の価値観が、ほんの少しだけれど、分かった気がした。なんて魅力的な人なんだろう。

親愛なる父へ――いつもの事ながら、僕たちの旅の歩みは非常に緩慢です。しかし、旅の中身はますます面白くなっています。(87ページ)

 こんな一節も見つけた。当然彼の旅とわたしの旅は文脈が違うのだけれど、新婚旅行だということを合わせて読むと、素敵な言葉だなと思った。

 旅の復習がてら、また今年も本をたくさん読もうと思う。もしくは旅の予習として、いい本にたくさん出会いたいと思う。旅をより良いものにするために。2019年もよろしくお願いします。