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「四人死ぬ」の予言、驚きの結末 今村昌弘「魔眼の匣の殺人」

  驚きの連続を体験できるのが今村昌弘著『魔眼の匣(はこ)の殺人』(東京創元社・1836円)だ。鮎川哲也賞や本格ミステリ大賞を受賞した『屍人荘(しじんそう)の殺人』の続編。今回も大学2回生の剣崎比留子が1年後輩の葉村譲と共に、事件の謎に挑む。
 舞台は、人里離れた「W県I郡旧真雁(まがん)地区」。そこには「魔眼の匣」と呼ばれる元超能力研究所があり、予言者のサキミという老女が暮らしている。サキミは「十一月最後の二日間に、真雁で男女が二人ずつ、四人死ぬ」と予言する。住人は恐れおののいてその土地を離れるが、剣崎と葉村、サキミを含めて11人が残される。どの人物もいわくありげで……。
 本当に4人が死ぬのか。アガサ・クリスティの小説を思わせる減っていく人形は、何を意味するのか。『屍人荘の殺人』でも重要な存在だった謎の組織「班目(まだらめ)機関」とは何か。比留子の推理が冴(さ)えわたるが、とどめは終章。こんなとんでもない結末は予測できなかった。やられた。さらなる続編もありそうで、今から楽しみだ。(西秀治)=朝日新聞2019年3月16日掲載