近ごろ増えている、動物たちのユニークな生態を紹介する本。でも、面白いのはなにも動物だけじゃないんです!
「だれかに話したくなる あやしい植物図鑑」は、世界各地に分布する植物の中から、変わった生態や見た目の96種をピックアップ。「ドラゴンブラッドツリー」や「ソアマウスブッシュ」など名前すら初めて目にする(そしてとにかく声に出したい)ようなものから、バナナや竹など身近なものまで、「強すぎて、あやしい」「見た目が、あやしい」など様々な“あやしさ”を切り口に面白ネタを紹介しています。
タイトルどおり、読んだらだれかに話したくなる衝動に駆られます。というわけで、個人的にお気に入りの「アカシア」のネタを披露させてください。
アカシアは、主にオーストラリアやアフリカの熱帯地域に生えている木で、キリンの好物。天敵であるキリンに葉を食べられ始めると、葉に毒を送り込んで自らまずくなるのだとか。しかも、葉を食べられたアカシアは近くのアカシアにキリンが来たことを知らせるべくガスを発生。それを察知した周りのアカシアも一斉にまずくなって、キリンを撃退するという、素晴らしいチームワークを発揮する植物なんだそうです。
こんな風に人に話したくなる植物の面白ネタを、どんぐりコロ太郎を主人公にした恋愛マンガをベースに散りばめているのも本書の憎いところ。最後にはハッピーエンドなオチもちゃんと用意されているので、思わずほのぼのしてしまいます。
本書に取り上げられたものだけでも多様性に満ちた植物の世界。その力強い生存戦略から、人類も学ぶべきところがあるかも……しれません。