テレビ朝日系「ポツンと一軒家」が高視聴率をたたき出している。誰も知らないような場所に住んでいると聞けば、すべての情報が得られるようなネット時代であるだけに、逆に「なぜ?」「どんな風に?」と思わずにいられない。本書はいわば、その対象を地球規模に広げ、集落や地下施設も大きく「都市」と呼んでいる。
最初に登場するのは、映画「スター・ウォーズ フォースの覚醒」で、老いたルークが隠れていた岩だらけの島だ。実は、修道士たちが暮らしたアイルランド沖の島だという。
こうした宗教系の場所に続き、冷戦下の軍事施設や核シェルター、共産体制下の都市などが続く。極寒の地ながら、銅やニッケルの鉱脈があるために人が暮らすロシアの閉鎖都市ノリリスク。そのアパート群は、永久凍土の上に立つ。荒涼たる風景に息をのみつつ、なかば限界を超えて生きるすごみを見る。
「秘密都市」として取り上げられている存在は、崇高な思いやうごめく欲望といった、人の心が具現化したものなのだ。=朝日新聞2019年7月20日掲載
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