本屋で写真集を物色していたら、見覚えある女の子の顔が目に飛び込んできた。思わず手に取って帯を読むと、やっぱりそれはもくれんさんだ。2011年からフォローしているSNSアカウントの主で、当時は4歳ぐらいだったと思う。アカウントを運営するのは、彼女の母親で本書の著者でもあるソノダノアさん。11歳になったもくれんさんの写真を眺めていたら、親戚の子と数年ぶりに再会したような気持ちになった。
もくれんさんの個性的なキャラクターと可愛らしさは変わらず素晴らしいが、ソノダさんの写真的センスの秀逸さと才能に改めて驚かされる。家族にしか見ることができない一瞬の姿と、成長する娘の長期的な変化のどちらも冷静に観察し、ドキュメンタリーともセットアップともつかない写真を撮る。ときどき挿し込まれるもくれんさん直筆の言葉も胸に迫る。すべてのページから、二人の自由な魂と信頼関係、オリジナルでありながら地に足のついた人生観がじんじん伝わってくる。=朝日新聞2020年1月18日掲載