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「一週間3500円献立」RINATY(りなてぃ)さんインタビュー インスタで発信する等身大のライフスタイル

RINATY(りなてぃ)さん=篠塚ようこ撮影

【レシピはこちら】

RINATY(りなてぃ)さん「私の一品」 彼も大好き「絶品♡鶏マヨ」、エビを使わずお安く手軽に

料理家になって初めて東京に来ました!

――まずは「料理レシピ本大賞」準大賞受賞、おめでとうございます! 初の著書『りなてぃの一週間3500円献立』が受賞となっていかがでしたか。

 ありがとうございます。もう、めっちゃうれしいしかないです。インスタのフォロワーの人たちや本を手に取ってくれた方々、すごいポップを作ってバーンと置いてくれた本屋さん……、本当にいろんな人が本に関わってくれて取れた賞なので、皆さんにありがとうと言いたいです。

――同棲している彼はどんな反応でした?

 むっちゃ喜んどったんですけど、ちょっと他人事というか、現実味がない感じでした(笑)。多分、自分の彼女がそんな賞を取るなんて思ってもなかったんだと思います。

 私自身もまさかって思ったし、1冊目の『りなてぃの一週間3500円献立』を出してから、本当に人生が変わりました。それまでは、会社員として少ないお給料でコツコツ働いて定時になったら帰るという同じ日々の繰り返しで、何となく将来も見えている感じやったんです。

 でも、本を出したらたくさんの人が喜んでくれて、そこから一気にバーッとすごいスピードで料理家としての道が開けてきて、2、3年前とは環境が大きく変わったなと感じています。東京とか来ることなかったですもん! 料理家になって初めて来ました。

「料理ができる彼女」って思われたくて

――世界が広がっていったんですね。そもそも、りなてぃさんは子どものころから料理が好きだったんでしょうか。

 別に全然です(笑)。フォロワーさんにも「お母さんが料理上手なんでしょうね」とか「品数いっぱい出てくる食卓だったんだろうね」とか思ってくれている人もいるんですけど、お母さんも「料理、面倒くさい」っていうタイプだったので、特に小さいころから料理に親しんでいたわけではないです。

――意外でした! お手伝いとかをすることもなく?

 何もしてなかったです。本当に食べるだけって感じでしたね。何となく、料理を盛り付けるのは楽しそうだなとは思いよったんですけど。

――でも、そこから栄養士の資格が取れる短大に進んだのはなぜですか。

 私は高校を卒業したらすぐに働きたかったんですけど、行っていた高校が進学校だったのもあって、「せっかくだから、どこか大学行ったら?」と言われたんです。だったら、料理は家事だからどのみち将来せないけんことやし、管理栄養士の資格が取れる短大に行くことにしました。花嫁修行がてら、栄養のこととかパソコンとかのスキルも身につけば無駄にはならんなと。料理について勉強する機会は、それが初めてでした。

――卒業後は栄養士の資格を生かした仕事を?

 いや、栄養士になりたかったわけじゃないから、歯医者さんで働いて一人暮らしを始めたんですよ。一人暮らししよるときには、今の彼ともう付き合っていて、彼が遊びに来た時にごはんを作って振る舞うことをしていたら、料理って楽しいなと思うようになって。本格的に料理をし始めたのは彼と同棲するようになってから。ここ2、3年です。

――じゃあ、同棲から料理のインスタを始めたんですか?

 そうです。同棲し始めだから、やっぱり「おいしい料理ができる彼女」って思われたいじゃないですか!(笑)。でも私って、けっこう面倒くさがり屋なんですよ。ごはんを作り続ける自信がなくて、自分のための記録用、続けるためのモチベーション用にインスタのアカウントを作りました。別に誰かに見てほしいとかじゃなくて。

 そうやって続けていたら、料理に関心があるフォロワーさんが増えてインスタが盛り上がってきて、「レシピが知りたいです」って言われたのをきっかけに、簡単なレシピをつけるようになったんです。

――そうやって「一週間3500円献立」が生まれたんですね。

 彼との結婚資金を貯めるために私も節約したくて「一週間3500円献立」を出したら、数日でフォロワーが一気に1万人ぐらい増えました。やっぱり「今日のごはん何にしよう」って、みんな悩んでいるんだなと需要を感じて。そこからレシピも見やすく画像にしたり、レシピサイトに登録したりと、少しずつ料理家の道を進んでいきましたね。で、なんやかんやして、すぐに本の出版のお話をいただいて……という感じです。

 私も毎日、毎日、「今日のごはん何にしよう」って考え続けていくのかと思うとすごく嫌で……。でも、まとめて考えとったら楽やし、みんなが考える代わりを私がやったらいいんじゃないかなと思ったんですよ。みんなの悩みをこの企画で解決できるんじゃないかなと思って、手応えもあったので続けていきました。

見た目は豪華に、節約感なく

――2人分の1週間の夕食費が3500円。単純に割り算すると1食250円ですけど、どのレシピもボリュームも彩りもあってそうは見えないです。この金額は、いろいろ試して出てきた金額なんですか。

 そうです。私がレシピで大事にしているのが、食べる人に喜んでもらうこと。私の場合は彼に食べてもらうんですけど、節約ってバレたくないんですよ。見た目は豪華に、節約感ないような節約レシピにしたくて。この3500円っていうのは完全に私目線で、地元のスーパーでできる金額。

 でも、私もいつも節約というわけじゃないです。「一週間3500円献立」は、「節約を頑張るぞ!」っていうときにやる。月2万〜2万5000円くらいに収まっていればいいと自分の中で基準があるので、4000~5000円の週もあって、頑張るところは頑張って、力を抜くところは抜いてという感じで使い分けています。

――『りなてぃの一週間3500円献立』は第1弾、第2弾ともに一汁三菜のレシピになっています。これには何かこだわりがあるんでしょうか。

 「絶対に一汁三菜で作りましょう。その方が栄養的にもバランスがいいです」ということではなくて、作る人が選びやすいかなと思って。例えば、メインとご飯と汁物があればいいというおうちでは、残った食材はお昼ご飯とかに回したらいいし、あと一品欲しいなっていうときには、二つある副菜から好きなものを加えればいい。一汁三菜でレシピを用意しておけば、いろんな家庭の食事のスタイルに合わせやすいんかなと。

レシピで記録する「いまの生活」

――「一週間3500円節約献立」や「男子が喜ぶがっつり愛されごはん」など、実用的なテーマに沿ったレシピづくりが上手な印象があります。レシピはテーマを決めて作っているんですか。

 テーマというよりかは、私の生活ありきです。いま私が26歳で彼と同棲していて、結婚資金を貯めるために節約をしたいと思っているから、「節約」や「がっつり」「男子が喜ぶ」といったテーマになっているんやと思います。

 多分、30代、40代になったら、今と同じようなレシピは載せないと思うんですよ。年齢を重ねるにつれて、味覚もライフスタイルも変わるやろうし、子どもができとるかもしれんし。ライフステージに合わせて、その時々の思いや伝えたいことをレシピとして発信して、残していきたいと思っています。

――等身大のレシピなんですね。

 変に背伸びはしたくなくて……。自分の生活に合わせてレシピを作ることで、似たような境遇の人や同世代の人たちも応援したいなという気持ちもありますね。20代半ばぐらいって、同棲したり結婚したり、社会に出て一人暮らしを始めたり、生活環境が変わる年ごろ。特に料理をこれまでしたことがない人だったら、まず何をしていいかわからないと思うんですよ。そういう人たちはレシピを本当にまるっと必要としていると思っていて。

――だから、一品ずつではなく、献立として紹介しているんですね。

 そうです。レシピづくりでは、食べる人が喜んでくれることを大事にしています。料理って、めっちゃ幸せやと思うんですよ。食べる人がおいしいと思ったら、食べた人はもちろんうれしいし、作った人も喜んでもらえてうれしい。料理を頑張って愛情込めて作っていると、ずーっと仲良しのままおれる気がするんです。幸せの土台のような、そんな気がしています。うちらが食べるのが好きだけかもしれんのですけど(笑)

レシピの向こう側にある幸せも届けたい

――本当に彼は幸せ者ですね! 楽しそうな食卓の風景が目に浮かびます。

 最近は彼も急に料理に目覚めたんですよ(笑)。この間は、私が家に帰ってきたら、ハンバーグやグラッセ、ポテトサラダにスープと、いろいろ作っていて。私が面倒くさがり屋で簡単なレシピが多いのもあって、私のレシピ本を見て「なんかこれ、俺でも作れそう」って思ったみたいです。

――彼の得意料理はあるんですか?

 彼は鶏マヨが好きで、めっちゃ作ります。おいしいと思ったものをまた食べたいから、自分で作るみたいです(笑)

――かわいいですね(笑)。でも、彼が料理をするようになったのは、りなてぃさんにとって予想外の変化では?

 まったく想像していなかったです。彼が作ったものを食べて、私が「おいしい」「うれしい」って喜ぶと、「また作るね」という感じで、どんどんハマっているみたいです。

 やっぱり食べた人がおいしいと感じてくれると、作った人も喜んでもらえてうれしいんですよね。料理って、相手を思いやることなんじゃないかなと思っています。

 我が家で起こっているような喜びが、いろんなところに広がっていったらいいなと思ってレシピを作っています。ただレシピをレシピとして伝えたいわけじゃなくて、レシピの向こう側にある幸せも一緒に届けていきたいです。

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