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栗原心平さん「私の一品」 ふきの香りと味がきわだつ「きゃらぶき」

撮影=寺澤太郎(『栗原家のごはん』より転載)

【インタビューはこちら】

栗原心平さん、母のレシピに感じた世代を超える惣菜の力

祖母の味に近づいた「きゃらぶき」

材料(つくりやすい分量)

・ふき(水煮) 600g

【A】
・かつおだし 200ml
・醤油 150ml
・酒 100ml
・みりん 100ml
・砂糖 大さじ5

・白炒り胡麻 適量

作り方

撮影=寺澤太郎(『栗原家のごはん』より転載)

1. ふきは水気をきり、5cm長さに切る。

撮影=寺澤太郎(『栗原家のごはん』より転載)

2. 鍋に【A】を入れて中火にかける。沸いたらふきを加え、落とし蓋をして中弱火で40分煮含める。

3. 水分が少なくなったら、落とし蓋を外す。ときどき混ぜながら、中弱火で10〜15分ほど煮て、水分を飛ばす。

4. 水分が完全になくなり、艶が出たら火を止める。器に盛って白炒り胡麻をかける。

出典:『栗原家のごはん』(大和書房)

栗原心平さん=北原千恵美撮影

栗原心平さんひとこと

 きゃらぶきは、日持ちがとてもいいんです。半年以上は余裕で持ちますよ。祖母のレシピを見返したら、残った煮汁を何度も煮直していました。要は殺菌ですよね。「1年以上持ちます」と書いてあって、実際それくらい長く持ちます。何回煮ても、ふきの香りも味もしっかり残るんですよね。これで、ほうじ茶茶漬けを食べるとめちゃめちゃ美味しいんです。お弁当の端っこにちょこっと差し込んでおけば、これだけでご飯2口ぐらいいけちゃいます。

 祖母の味に近いきゃらぶきが作れるようになったのは、ここ数年のことです。煮物って、やっぱり難しいんですよ。食材をどういう状態にしたいかを決めた上で水分量を決めて、さらに火加減によって味が濃くも淡くもなってしまう。自分で全て決めてコントロールしなければいけないので、本当に難しいんです。成功事例をいくつか作って、骨組みみたいなものを体得していく料理だと思います。最近はきゃらぶきを作ると母も「ちょうだい」って言うぐらい。まあ、手間がかかるというのもあるんですけどね(笑)。

(構成:岩本恵美)