石川基子さんの絵本「ほしじいたけ ほしばあたけ」
きのこ村で暮らす、きのこの老夫婦「ほしじいたけ・ほしばあたけ」が主人公。タマゴタケやキヌガサダケなど、さまざまなきのこと仲良く暮らす二人は、ある日、村の子どもが谷に落ちてしまうというピンチに遭遇します。いつもは日向ぼっこをしたり風に吹かれたり、穏やかに過ごしている二人は、ある「変身」をして体を張って助けようとしますが……。作者の石川さんは「絵本から、『老いも悪くないな』とか、『躊躇なく他人のために行動するってすごいな』とか、『乾物はいいな』とか、色々と感じてくれる人もいます。そうして自由に、様々に感じて頂けるのが、とても嬉しいです」とのこと。家族でいろんな感想を言い合ってみるのも楽しいひとときになりそうです。
のしさやかさんの絵本「じいちゃんバナナ ばあちゃんバナナ」
熟していくバナナを、おじいちゃん・おばあちゃんになぞらえて、人生の「味わい」が増していく様を描いたユーモアあふれる絵本。「あらあら、あなた じゅくして きたわね。」「まあ、それは おたがいさまよ。」「わしらも いい いろに なったなぁ。」など、熟したバナナたちが交わす会話も楽しい一冊です。完熟したじいちゃん、ばあちゃんバナナたちが、皮を脱ぎ捨て、チョコバナナやアイスバナナへと華麗に変身し、新たな人生を楽しむ展開には、おじいちゃん、おばあちゃんも元気をもらえるはず。「完熟しておいしくなって終わりではないというのは、子どもの頃から、私の周りに素敵な人生を送っている先輩がたくさんいたからかもしれません」と作者・のしさんは話します。
さとうわきこさん「ばばばあちゃん」の料理絵本シリーズ
いつも元気で行動的な「ばばばあちゃん」が主人公。作者のさとうさんは「ばばばあちゃんの行動力や力強さは、描いていて愉快な気持ちになれます。読んでいる方にもそうなっていただけたらいいですね」と話します。読めば元気をもらえる同シリーズの中でもおすすめなのが、「よもぎだんご」や「やきいも」など、食べ物をテーマした料理絵本です。例えば、『ばばばあちゃんの なんでもおこのみやき』は、ばばばあちゃんと子どもたちが、それぞれ好きな具材を使ってお好み焼きを作るお話。レシピも掲載されているので、いっしょに絵本を読んで料理してみては? 「あれを入れたい」「こっちのほうがおいしそう」など、会話も弾んで、家族の絆もよりいっそう深まるはずです。
デンマークの絵本「おじいちゃんがおばけになったわけ」
おじいちゃんを亡くした少年エリックのもとに現れたのは、おばけになったおじいちゃん。「この世にわすれものがあると、人はおばけになる」と知り、ふたりで“わすれもの”を探すことに。「死」を扱っているのにもかかわらず、おじいちゃんと孫のエリックとの交流がユーモアを交えて淡々と描かれています。翻訳を手掛けた菱木晃子さんは、父親の死で落ち込んでいるときに、この絵本に出会ったそう。「身近な人の死はとても悲しいけれど、残された人の中で思い出として生き続けていくものです。人がいつか年をとって死んでしまっても、きっとその人はまた誰かの心の中で生きていく。そうやって人の人生が鎖のようにつながっていく、という死生観が表れているのが、北欧らしいなあと思います」(菱木さん)
川浦良枝さんの絵本「しばわんこの和のこころ」
かわいい柴犬と三毛猫のコンビが、日本の伝統的な風習や季節の移ろいについて楽しく教えてくれる絵本。「床の間って何?」「畳のヘリはどうして踏んではいけないの?」など、孫世代にとっては知らない日本の文化や風習をたくさん紹介しています。「日本古来の考え方について知ったとき、自分の中でモヤモヤしていたものが、腑に落ちることもあります」と、作者の川浦さん。床の間や畳のある暮らしなどは、祖父母の世代にとっては懐かしく、孫世代にとっては新鮮に映るのではないでしょうか。絵本をきっかけに、おじいちゃん、おばあちゃんに、かつての暮らしや思い出を聞いてみるのもおすすめです。