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「書店員の怒りと悲しみと少しの愛」書評 厳しい状況、リアルな現場報告

評者: 青山七恵 / 朝⽇新聞掲載:2026年05月30日
書店員の怒りと悲しみと少しの愛 著者:大塚真祐子/水越麻由子/篠田宏昭/前田隆紀/笈入建志/モーグ女史/小国貴司/嶋田詔太 出版社:knott books ジャンル:文学・評論

ISBN: 9784991458002
発売⽇: 2026/02/20
サイズ: 12.8×17.8cm/256p

「書店員の怒りと悲しみと少しの愛」 [著]大塚真祐子ほか

 よく行く駅のそこそこ広いチェーン系書店が、閉業してリユースショップになっていた。いつも賑(にぎ)わっていたのになぜ?
 不思議に思っていたが、元/現役書店員さんのリアルな現場報告を集めた本書を読むと、今の書店を取り巻く厳しい状況が見えてくる。中でも、二十六年の職歴を持つ元書店員さんの「書店の仕事はシット・ジョブ(=社会に必要なのに労働条件が劣悪な仕事)である」という断言は重い。彼ら彼女らの仕事に対する愛を損なってきたのは、人件費削減による人手不足、低すぎる利益率、販促のための無償労働等々。書店員さんの心身は日々削られていく。
 本の書き手の一人として衝撃を受けると同時に、自分も知らぬ間にこの理不尽な労働環境生成に加担していたかもしれないと冷や汗が出た。本を仕入れて売るというビジネスモデル自体に亀裂が入りつつある今、国や出版社や書き手ができることは何なのか、本腰を入れて考えていかねばならないと痛感する。街から書店が一つ消えるということは、長い目で見れば、公道が一つ消滅するに等しいと思うから。