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竹内佐千子「赤ちゃん本部長」 なぜか突然、上司が赤ん坊に!?

赤ちゃん本部長 [作]竹内佐千子

 子連れ出勤OKの会社を取材した番組や記事をたまに見かける。それは取りも直さずそういう会社の存在自体が珍しいということだろう。
 では、有無を言わさず職場に赤ん坊がやってきたらどうする? というのが本作。47歳の営業本部長が、なぜか突然推定8カ月の赤ちゃんになってしまったのだ。中身はそのままで会話もできる。ただし排泄(はいせつ)のコントロールはできず、お昼寝は必須。時にはギャン泣きすることもある。
 そんな本部長を、子育て経験のある平社員、既婚だが子供のいない部長、独身の課長ら(全員男性)がサポートする。異常事態にも動じない彼らの対応力は、いかにもデキるビジネスマン。一方、取引先には赤子相手の商談を受け入れられない人もいる。
 ビジネスの現場×赤ちゃんというギャップで笑わせながら、育休中の社員が保育園に落ちたりメンタルの不調による休職から復帰した社員がいたりと、社会問題への目配りも抜かりない。サポート役3人のプライベートが多様性に富んでいるのも現代的だ。
 ジェンダーや家族論にも触れつつ、全編を通して流れるのは「迷惑はかけていい」というメッセージ。本部長が愛される理由もそこにある。=朝日新聞2018年4月21日掲載