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絶望した者に美しい命を与える宮沢賢治の世界【逸冊レビュー9月号/読み返したい本】

「よだかの星」 宮沢 賢治・著 あらすじ

 大正~昭和期の童話作家、詩人である宮沢賢治の短編童話。

 飛び方や鳴き声が鷹に似ているだけで「よだか」と名づけられたため、鷹に改名を強いられる。鷹の無理難題と食物連鎖の悲しさが、絶望へと変わっていく。よだかは太陽や星に連れて行ってくれるように頼むが聞き入れてもらえない。すっかり力を落としたよだかは、自分の力で空へ一直線に舞い上がっていき「よだかの星」となる。賢治は、絶望した者に、青い美しい命を与える。

投稿者 いのこさん(神奈川県)

 今から20数年前の夏、小学生だった私が読書感想文の図書に選んだのがこの本だった。当時、学校では同級生になじめず、家庭環境も良くなかったため、どこにも居場所がない気持ちを抱えていた。

 そんな自分と、薄汚れたよだかが燃え尽きていく姿が重なり、感想文を書きながら涙を流した記憶がある。内容ははっきりとは覚えていないが、今は家庭を持ち、幸福の中にいる自分が読んだらどう感じるのか、また改めて読んでみようと思う。

谷原店長のコメント

 勉強として読んでいた頃わからなかった宮沢賢治の良さが、年を重ねるほどにわかるようになってきました。賢治の優しさと豊かな日本語の世界を味わってください。