先月、13組の同性カップルが、日本でも法律的に同性婚が認められるよう求めて提訴した。国際的な流れに後れをとってきた日本は、どうすればこれを実現できるか。
フランスの法社会学者イレーヌ・テリーが書いた『フランスの同性婚と親子関係』(明石書店・2700円)は、大きな示唆を与えてくれる。フランスも、政治や社会に根強い「伝統的な家族観」の中を掘り進めるように法改正を重ね、ようやく2013年に同性婚を合法化した「みんなのための結婚法」を成立させたからだ。
本書は、1804年にナポレオン法典が「(異性)結婚による家族」を社会の基盤と定めて以来、フランスがどのように男女平等や、婚姻内外のすべての子どもの平等、LGBT運動、生殖補助医療の発展に向き合い、法制度を改めてきたか歴史をひもときながら示す。社会は大きく変わったが、「宗教と結婚は消滅せず、信用も失わなかった」という指摘は、ある価値観を守るために誰かを犠牲にする必要はない、ということを教えてくれる。(藤田さつき)=朝日新聞2019年3月23日掲載
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