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ちいさいおうち書店・越高一夫さん「絵本選びも読みきかせも、親が子へ与えられる最高の贈り物」

撮影:中惠美子

 夫婦ではじめた子どもの本屋が、おかげさまで来年40周年を迎えます。もともと私は出版関係の仕事をしていましたが、自分の子どもが生まれることになり、自分で直接本を販売する人になろうと考えました。お店の名前は、一番好きな絵本のタイトル『ちいさいおうち』からつけました。うれしいことに今では、うちで絵本を買ってくださっていた方が、大きくなった娘さんとお孫さんと親子三世代でいらっしゃることも多くなりました。これからの季節はクリスマスにお正月と、お子さんやお孫さんに絵本を贈るお客様が増えるので、子どもたちの喜ぶ顔を想像するだけで楽しくなります。

 長年、子どもたちと接していると時代の変化を感じることがあります。特にここ数年は、言葉の発達が遅い子が目立つようになって、「うちの子は2歳になってもまだしゃべれないんです」と相談に来られる方もいます。乳児期の子どもは大好きな大人の肉声で言葉を獲得していきます。ところが最近は、スマホに夢中で家族といても会話をしない親御さんもいるようです。そういう方が、私の読みきかせ講習会に参加してくださると、「読みきかせがいかに親子の絆を強くするかがわかり、今までそういう時間をもたなかったことを反省しました」といった感想をよくいただきます。実際に、子育てで悩んでいるお母さんが読みきかせをはじめたことで、親子関係が好転した例もたくさんあります。また、私の妻は長野県立こども病院で20年以上毎週一回、仲間とおはなしの会を病棟で開いています。手術後でつらい思いをしているお子さんや、小さな赤ちゃんまで、読みきかせの効果は絶大で、読みきかせの後子どもがニッコリ笑顔になると、付き添いの大人まですてきな笑顔になるといいます。

 読みきかせは、成長とともにだんだん自分のことを話さなくなっていく子どもとの、会話のきっかけにもなります。たとえば、いじめられたことを誰にも言えずにいる子どもと、友だち関係がテーマの絵本を一緒に読んでいると、「今日、学校でこんなことがあったんだ」とポロッと話してくれることがあります。親と子の間に絵本が介在することで、心をふっと開けるようになるんですね。そのとき親はあれこれ口をはさまず、子どもの言葉を受け止めて気持ちを理解してあげればいいのです。そして絵本を読みながら、登場人物の気持ちを一緒に考えたりしていると、子どもも気持ちの整理をする心の余裕ができてくるのでは?

 ただ、絵本はたくさん種類があるので、どれを選べばいいか迷うと思います。そんな時にぜひ参考にしてほしいのが、絵本と読みきかせの情報誌『この本読んで!』です。カラーページが豊富で読みやすく、「食べもの」、「スポーツ」、「科学」といったテーマから「絵本から読みものへ」という切り口のものまで、特集も充実しています。私もこの雑誌で、お気に入りの児童書を紹介する連載を担当していますが、ロングセラーから新刊まで本当にたくさんの絵本から、編集部が選りすぐって紹介しているので信頼できる情報だと思います。子どもに手渡す本選びにきっと役立つと思います。子どもと過ごせる時間はあっという間に過ぎ去ります。絵本選びも読みきかせも、親が子へ与えられる最高の贈り物。ぜひこの冬は、親子で絵本を楽しんでほしいですね。