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「オンエアできない!」で知る、ADのお仕事 華やかに見えるテレビ業界の、縁の下の力持ち

文:片岡まえ

 今や誰もがチャンネルを持ち、発信できる時代。YouTubeなどに押され気味なイメージのテレビですが、その裏には番組作りに心を燃やすADの活躍があります。漫画『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます』(朝日新聞出版)は、現役のテレビマン・真船佳奈さんのコミックエッセー。華やかな世界だと思われがちなテレビ業界を「クッソ地味」と毒づくのは、主人公で著者自身でもある「まふねこ」です。業界のリアルな裏側が詰まった本作には、現在ディレクターを務めているまふねこの、バラエティ番組のAD時代のてんやわんやが描かれています。

 番組を一から企画するのがD(ディレクター)で、彼らの演出プランや世界観を実現できるよう手となり足となってロケや収録現場を段取り、編集を行い、出演者やスタッフの弁当の発注などの雑務までこなすのがADです。まふねこは10年目のベテラン鬼河原Dのもと、変な着ぐるみを着せられたり、どんぐりを600個集めさせられたり、「予想不可能で非日常な」毎日を過ごしています。しかも企画がなくなりその努力が報われないこともしばしば。「一体何をやっているのだろう」と我に返る事も多いのだとか。でもそれは、まだ誰も見たことのない面白さを映像に載せ、画面の向こう側に伝えるためなのだと鬼河原Dは言います。

©テレビ東京/朝日新聞出版

 ある日は、ファーストキスの思い出を聞くため100人以上に街頭インタビューを行い、またある日は音楽番組の収録で黒子に徹しステージに向かう歌手の台車を押すなど、仕事は多岐にわたります。収録は、出演者のスケジュールを押さえ、細心の注意をはらって映像と音声をとり、美術、照明などそれぞれのスタッフがプロとして全力をかける真剣勝負の場です。ADは収録がスムーズに進むようカンペを準備するほか、見切れないよう忍者のようなふるまいが求められます。

 ある時、まふねこは通称「ハコ」と呼ばれる編集所で仕事をする事に。ハコは、オペレーターが映像の色調整や加工、テロップなどを入れてオンエアできる状態に仕上げる場所です。数カ月のうちに様々な経験を積み、心が強くなりつつあるまふねこの今回のミッションは、なんと男性のアレを消すこと?! 選挙ポスター、競合しているスポンサーの商品、そして個人が特定される車のナンバープレートなど、映したらヤバイものにひたすらモザイクをかけていきます。抜けがあった場合は放送事故につながるとあり、責任重大。0.03秒ごとにオペレーターに丁寧にモザイクをかけてもらうという途方もない作業で、終わるとゾンビのようにやつれてしまいます。

©テレビ東京/朝日新聞出版

 地味な作業ばかりかもしれませんが、ADの仕事の一つひとつが縁の下の力持ちとして番組を支えています。周りのプロの力を借り、自分にしか見つけられない面白さを発信する「いつか」のために、もがいてあがいて必死になって番組を作っています。

「オンエアできない!」で知るADあるある!?

  • いつでもロケに行けるよう、ジーンズを職場に置いていることが多く、履きやすいスニーカーにこだわっている
  • ソファや床で寝ている人たちが会社に当たり前にいて、フロアにロケで使う犬がいても驚かない
  • カンペを作るスケッチブックとマッキー、場所を決める時に使うテープ「バミテ」が必需品。物の場所や人の立ち位置を記録するバミテが着いたまま家に帰ってしまうことも
  • 合コンではどうしても、テレビマンとして面白いところを見せなくてはと思ってしまう
  • 激務が多いため、先輩が話している時や代役として長時間スタジオに入った時など、立ったまま寝るなどして、うまく体力を回復している
  • 編集所での作業は基本ハコヅメになるため、出前や弁当が楽しみ。のびてしまわないもの、スペースを取らないものなど暗黙のルールのもと選び抜かれた「出前ファイル」が先輩ADから受け継がれている
  • 冷たいものを冷たく、温かいものを温かく美味しそうに見せる食べ物の撮影は、失敗すればするほど食べる量が増え、お店の人の厚意でさらに食べることが多くなり、その結果巨大ADが生まれる
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