「お笑い世代論」
「テレビ芸」をつくったいかりや長介(ザ・ドリフターズ)や萩本欽一ら「第一世代」から今日まで、お笑いの変遷を世代ごとに振り返る。「第七世代」の現在は地上波テレビが絶対的な場ではなくなり、世の空気を映して「否定しないツッコミ」「人を傷つけない笑い」が人気だと分析。
★ラリー遠田著 光文社新書・1012円
「中国語は楽しい」
動詞は活用せず、時制もなし。さらに日本語で培った漢字の知識が使えて「お得」と、大学で中国語を教える著者がその魅力を語る。香港の雨傘革命は、広東語の言文一致が可能にしたオンラインの高速コミュニケーションに支えられていた――そんな時事問題への理解が深まる知識も。
★新井一二三著 ちくま新書・924円
「シニア バス旅のすすめ」
30年以上バスに関する書籍や雑誌をつくり続けてきた著者の書き下ろし。観光地の周遊バスのような定番から、路線バスを乗り継いで2日がかりで箱根駅伝の往路をたどる趣味度と難易度の高いものまで、幅広く紹介する。シニアでなくても十分参考になる。
★加藤佳一著 平凡社新書・1012円
「最後の文人 石川淳の世界」
東西の文学的素養の上に「精神の運動」を唱えた作家・石川淳(1899~1987)。彼が求めた絶対自由とは何か。戦時中に「留学」したという「江戸」のとらえ方は? 発禁となった「マルスの歌」の今日的意味などを多角的に考える。
★田中優子、小林ふみ子、帆苅基生、山口俊雄、鈴木貞美著 集英社新書・968円
「どうしても頑張れない人たち」
ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』の著者による続編。認知機能が弱かったり、家庭環境に問題があったりして頑張れない人には、励ましの言葉が逆効果になることもある。そうした人たちに自信を持たせ、社会で生きていく意欲を引き出す支援のあり方を考える。
★宮口幸治著 新潮新書・792円=朝日新聞2021年5月15日掲載