1. HOME
  2. コラム
  3. 私の本は、
  4. ロバートの秋山竜次さんが『つくるひとびと クリエイター71人のパワー・ワード』を出版 なりきって出てきた、生きた言葉

ロバートの秋山竜次さんが『つくるひとびと クリエイター71人のパワー・ワード』を出版 なりきって出てきた、生きた言葉

秋山竜次さん

 「クリエイターズ・ファイル」はフリーマガジンからの連載依頼がきっかけでした。ロバートでやっているコントのように扮装して、クリエイターになりきって架空インタビューを受ける。1回目のCGクリエイターは探り探りでしたね。なんとなくのイメージしかない職業について、2~3時間、質問攻めにあう。それをアドリブとノリで答え続ける。衣装や名前もそれらしい感じに細かいところまで詰めていく。子供のころからやたらと細かいところにひっかかるタイプで、やってみると、その面白さに目覚めました。

 今回の本は過去に扮した71人の「パワー・ワード」集です。架空の人物から生まれた金言集なんて、意味がわからないですよね。ただ、その人になりきった状態から出てきた言葉だから、生きた言葉になっている。

 偉い人の言葉で、いい言葉のように聞こえるけど、どういうこと?ってのがありますよね。あるダンサーと食事したとき、「踊らないことが踊り、じっとしているダンスがある」と言うんです。究極ですよね。突き詰めている人の言葉って、すごすぎてわからないことがある。

 ロバートのコントにも相乗効果は出てます。この企画って、1人でボケまくっているだけじゃないですか。読んでいる人は心の中でツッコんでいるんだろうけど、僕には反応がわからない。ツッコミが欲しいような人物のときは、コントに持っていくこともあります。

 今月からインタビュー動画がネットフリックスで世界配信されることになりました。外国人の笑いのツボがわからないし、本当にいるクリエイターのインタビューと思われるかもしれない。ただ、これを全部1人でやっているとわかった時、どう反応するのか、楽しみですね。

 (聞き手・野波健祐 写真・伊ケ崎忍)=朝日新聞2021年6月16日掲載

秋山竜次さんのサイン