「最強の食材 コオロギフードが地球を救う」
食糧危機が叫ばれるなか、高タンパクで抵糖質な「陸のエビ」とされる食用コオロギが注目を集める。研究する筆者が、無印良品で販売されているコオロギせんべいの開発秘話や、医薬品への応用などを解説する。サステイナブルの時代の食生活を学ぶきっかけにも。
★野地澄晴著 小学館新書・902円
「日韓関係史」
なぜここまで日韓関係は悪化したのかと国際政治学・朝鮮半島問題の研究者は問う。日本の朝鮮支配という非対称な関係から、国交正常化、韓国の先進国化による対称的な関係へ。その歴史と国際環境の変化を踏まえて、「日韓外交の共通利益」に着目し、局面打開の「知恵」を絞り出そうとする。
★木宮正史著 岩波新書・924円
「しごと放浪記」
地域雑誌を創刊し、谷根千(やねせん)ブームのもとを築いた著者。出版社勤めを経て、フリーランスで書く仕事や市民運動を切り開いた日々を自伝的につづる。結婚、子育て、病を得ての暮らしぶりと共に、好きなことを仕事にしたいと考える人へのメッセージや心得も語られる。
★森まゆみ著 インターナショナル新書・968円
「教えから学びへ」
スマホで世界中の情報が手に入る時代に、学校を中心とした教育はどうあるべきか。50年以上子どもたちを見続けてきた教育学者は「学ぶ力を豊かにし、深くする」ことの大切さを説く。自身の半生や古今東西の思想に触れながら、「生きているっていいな」と思える人生につながる学びを考える。
★汐見稔幸著 河出新書・979円
「英語の思考法」
英語を学ぶ上で暗記物と思われがちな文法には、英語の文化が染みついている。英語では独立した個が尊重され、個と個のつながりが重視され、お互いが対等であることを、社会言語学者でテレビの「英会話」番組にも出演する著者が豊富な例文を交え、日本語と対比させながら解説する。
★井上逸兵著 ちくま新書・946円=朝日新聞2021年9月4日掲載