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平和を考える絵本5選 「わたしたちはこの惑星に、幸せになろうと思って生まれてきた」

浅井健一さん×奈良美智さんの絵本「ベイビーレボリューション」

 ミュージシャンの浅井健一さんが、SHERBETS時代に発表した楽曲「Baby Revolution」を絵本化。3万人のBabyが30万人になり、さらに300万、3000万、3億となって、はいはいで世界を大行進していきます。野を越え山を越え、戦争地帯もお構いなし。そんなBabyたちの無垢な姿が心を打ちます。浅井さんは2019年のインタビューの中で、「この曲を書いたのはもう十何年も前だけど、世界の状態はあまり変わってないと思っていて、今も当時と変わらず世界中で悲惨なことはいっぱい起きとるし。だからこそこの絵本を出す意味があると思う」と語っています。

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「ベイビーレボリューション」(クレヨンハウス)より

くさばよしみさんの絵本「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」

 ウクライナのゼレンスキー大統領の演説が注目されていますが、こちらは2012年、ブラジルのリオデジャネイロで開かれた「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」で話題を呼んだ、第40代ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカのスピーチをまとめた一冊。編集者のくさばよしみさんが、子どもに分かりやすい言葉で伝えています。絵本には大量の紙幣にまみれる大人たち、社会の歯車の中で何とか生き延びようとする欲深い人間などが描かれ、政治や経済、環境など世界の諸問題の本質を突いていきますが、ムヒカ元大統領は人の生き方そのものにも触れています。「わたしたちは発展するためにこの世に生まれてきたのではありません。この惑星に、幸せになろうと思って生まれてきたのです」

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『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』(汐文社より)

浜田桂子さんの絵本「へいわってどんなこと?」

 「せんそうを しない」「ばくだんなんか おとさない」。端的で、力強い言葉で平和をうったえる絵本は、「日・中・韓平和絵本」シリーズとして、それぞれの国の絵本作家が協力して生まれました。「自分の生まれてきたことが周りの喜びになるとか、生まれてきたことがよかったと思える大切さとか、今につながる肯定感」を絵本作りのベースにしていると話す、作者の浜田さん。「『へいわって どんなこと?』も根底のメッセージは同じことで、あなたが生まれてきてよかった、ということなんです」

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宮野聡子さんの絵本「いちばん しあわせな おくりもの」

 大好きなくまくんに贈り物をしたいこりすが、何がほしいか尋ねると、「何もいらない」と言うくまくん。「きみと ここに いるだけで、ぼくは とても しあわせなんだ」。作者の宮野さんが「今、そばにいてくれる人のことを大切にしてほしい」という思いを込めた絵本。「『今を一緒に生きるよろこび』を伝え合うことなんて、普段の生活ではあまりないことなので、親子で読んだり、ペットに読み聞かせたり、友だちにプレゼントしたり、作品を通して気持ちが伝えられると嬉しいですね」。東日本大震災で親戚を亡くしたことをきっかけに生まれた絵本は、お互いを思い合う愛情にあふれています。

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『いちばん しあわせな おくりもの』(教育画劇)より

荒井良二さんの絵本「はっぴーなっつ」

 「うれしそうなとりのこえ、やさしいかぜのおと、だんだんあかるくなるそらのおと‥‥」。春の音を耳で感じるところから、夏、秋、冬へ。女の子の感性を通して四季が表現された荒井さんの新刊絵本は、当たり前にやってくる四季、当たり前にやってくる1日の尊さをさりげなく伝えています。今回は漫画のようなコマ割りを入れて、なんてことのない時間の経過も表現。「他愛のない瞬間を入れ込めることが、すごい嬉しい」と荒井さんは話しています。

>当たり前の日常が続きますように……『はっぴーなっつ』についてのコラムはこちら

>『あさになったのでまどをあけますよ』荒井良二さんのインタビューはこちら