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リュウジさんが2度目の栄冠!「料理レシピ本大賞 in Japan」授賞式レポート

「第9回 料理レシピ本大賞 in Japan」受賞作品

■料理部門

【大賞】

【準大賞】

【入賞】

【プロの選んだレシピ賞】

■お菓子部門

【大賞】

【準大賞】

■ジャンル賞

【こどもの本賞】

【エッセイ賞】

【コミック賞】

 今回エントリーされたのは全145作品。その中から、全国の書店員からなる「書店選考委員」269名と料理専門家である「特別選考委員」によって、「一般の人が作りやすいか」「おいしさや健康などのさまざまな面で日本の食文化に貢献しうるか」というポイントを重視して受賞作が選考されました。同賞のアンバサダーは、お笑いコンビ「キャイ~ン」の天野ひろゆきさん。表彰状のプレゼンターも務め、軽妙なトークで授賞式を盛り立てました。

リュウジさんが「いちばん出したかったレシピ本」

リュウジさん

 料理部門の大賞は、リュウジさんの『リュウジ式 至高のレシピ』(ライツ社)。2020年にも『ひと口で人間をダメにするウマさ! リュウジ式 悪魔のレシピ』(ライツ社)で大賞を受賞しており、今回で2度目の栄冠となります。前回の受賞作では、「じゃがりこ」にお湯を入れて混ぜるなど、まさにザ・バズレシピというようなレシピの数々が収録されていましたが、今回の受賞作はハンバーグや唐揚げなどの基本のレシピのみ。リュウジさんが思う世界一美味しい料理のレシピを集めた一冊になっています。

 「実は、僕が料理研究家になった時に、いちばん出したかった本なんですよ。本当は最初に出したかった。でも、料理の経歴がほぼない僕が『至高のレシピ』って出しても、『誰?』ってなりますよね。前回大賞を受賞してそろそろ『至高のレシピ』を出してもいいかなと作った本です。構想だけでも3年くらいかかりました。それが大賞を受賞して感無量です」(リュウジさん)

>>「料理が教えてくれたこと」リュウジさんインタビュー

 本書のレシピの中から試食コーナーに登場したのは、クリームチーズを味噌のように溶かし入れるのがポイントだという「至高のクリームシチュー」。アンバサダーの天野さんは、クリームシチューをひと目見るなり「粘度の感じがすごい。濃厚さが見ただけで分かる」とコメント。ひと口ほおばると、「いわゆるルーで作るシチューとは違う。コクがあって本格的」と絶賛していました。

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架空の珈琲店から生まれた絵本のようなレシピ本

 お菓子部門大賞は、イラストレーター・桜田千尋さんの『満月珈琲店のレシピ帖』(主婦の友社)が受賞。「満月珈琲店」とは、桜田さんが「疲れた人だけが訪れることのできる店」というコンセプトで考えた架空の珈琲店のこと。Twitter上で、月や星にちなんだフードやドリンクを描いたイラストが話題となり、その世界観を完全再現したのが本書です。レシピ本以外にも小説や絵本、イラスト集などさまざまな形で展開されています。

 天野さんに「美しくおいしそうなイラストを描くコツは?」と聞かれると、「食べることが大好きなんです。自分がおいしいと思った部分をいちばんに伝えたいと思って描いています」と、食いしん坊の片鱗を見せた桜田さん。「最初は机の前で1人で始めた満月珈琲店ですが、おかげさまでたくさんの方々に読んでいただいていて、イラストレーターとして、これ以上嬉しいことはありません。今後もたくさん新しいこと面白いことやっていこうと思っています」と感謝の気持ちを述べました。

桜田千尋さん

 『満月珈琲店のレシピ帖』から「ベテルギウスのプリン」を試食した天野さん。ゼラチン不使用で少し硬めなプリンにひとさじスプーンを入れると、「水抜きした木綿豆腐ぐらいかたい」と驚きの表情を見せ、口にして「カラメルのほろ苦さと合う」と、スプーンが止まらなくなっていました。

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「簡単・時短・節約」は思いやりの表れ

 料理部門の準大賞には、Instagramフォロワー100万人超の料理研究家、Mizukiさんの『今日のごはん、これに決まり!Mizukiのレシピノート決定版!500品』(学研プラス)が選ばれました。SNSを通して寄せられる料理のお悩みをもとに、「簡単・時短・節約」をテーマにレシピを発信するMizukiさん。本書は、これまでに発表した6000以上のレシピの中から500レシピを厳選し、素材ごとにまとめたものです。検索性が高く、家にある食材で簡単に作れるというのが特徴になっています。

Mizukiさん

 「『簡単・時短・節約』をコンセプトにずっとレシピを考えてきたんですが、ブログやインスタのフォロワーさんとコメントでやりとりするなかで、私が考えていた『簡単・時短・節約』って浅かったなと思うようになりました。簡単にしたいのは失敗せずに美味しいものを作って食べさせてあげたいから、時短にしたいのは待たせずに早く作ってあげたいから、節約したいのは家計のためとか、そういう思いやりの表れなんだと知って、皆さんの役に立ちたいと思ってまとめたのが今回の本です。料理って作ることが大変だと思われがちなんですが、多分考える方が大変なんです。500品も載っていれば、冷蔵庫にある食材で何かしら作れるかなと思っています」(Mizukiさん)

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夢にまで見るほど考え抜いたおやつ本

 お菓子部門の準大賞は、はるあんさんの『はるあんのベストおやつ』(ライツ社)。YouTubeで高校1年生の時から料理動画をアップしてきた、はるあんさん。動画でも人気の「おやつ」と「パン」のレシピをまとめた、初のおやつ本です。

はるあんさん

 「スタッフさんや家族や友人に試食してもらったり良いアドバイスをいただいたりして、完成した一冊となっています。本当に大変だったんですけど、でもその分本当に素晴らしい本に仕上げてくださって、感謝しかありません。コツがいらないほど簡単においしく、そして可愛く仕上がるレシピを目指して作りました。毎日おやつのことを考えていて、おやつのことを考えすぎて夢まで見たんですよ。試作を何回も繰り返したので、夢の中で何度も気持ち悪くなりました(笑)」と語り、会場の笑いをさらっていました。

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平野レミさんと和田明日香さんが初の母娘ダブル入賞!

 今回の授賞式で話題を呼んだのが、平野レミさんと和田明日香さんの母娘ダブル入賞。「料理レシピ本大賞 in Japan」が始まって以来、初めてです。

和田明日香さんと平野レミさん

 和田明日香さんの『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)は、見た目は茶色くてもおいしい、名もなき地味なおかずのレシピをまとめた一冊。結婚するまで料理歴ゼロだった和田さんは、「家族に私の料理を育ててもらい、私の料理で家族を育ててっていう十数年間を経て、今でも作り続けているのって本当に名もなき地味なおかずばっかりなんです。見栄えや手際の良さとか、人と比べることなく、それぞれの名もなき“地味ごはん”を愛してもらえるように、これからも胸を張って“地味ごはん”を作り続けようと思います」と喜びを語りました。

 一方、エッセイ賞を受賞した平野レミさんの『おいしい子育て』(ポプラ社)は、レミさんの育児や仕事との付き合い方から料理哲学までが詰まったエッセイ。47品のオリジナリレシピのほか、上野樹里さん、和田明日香さんとの嫁姑鼎談も収録されています。

 エッセイを読んだ明日香さんが「私が驚いたのは、今でこそ、父親が家事育児を手伝うとか当たり前になっていますけど、お義父さん(イラストレーターの故・和田誠さん)があんなに手伝っていたのは当時は多分すごく珍しかったんじゃないかなと思います。それと、こんなに大切に育てられた夫を私もきちんと大切にしないとなと思いました」と感想を述べると、レミさんが「本当に完璧な夫だった」とのろける場面も。

 「子育てでは、ごはんをちゃんと食べさせて、私にできることはすべてやったと思っています。子どもに料理をやりなさいなんて言ったことないんですけども、2人の息子は自分たちの家族にごはんを作っているんですよね。親の背中を見ていたんだなと思います。夫も天国で喜んでいると思います」(レミさん)

>>「料理が教えてくれたこと」平野レミさんインタビュー

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2世代の料理研究家が発信する味噌汁本

 土井善晴さん・光さんの父娘の共著で入賞したのが『お味噌知る。』(世界文化社)。一人暮らしを支える自立の味噌汁、家族の味噌汁、季節の味噌汁など、暮らしに寄り添う味噌汁レシピをまとめた一冊です。知っているようで意外と知らない、味噌にまつわるコラムも収録されています。

土井光さん

 授賞式に出席した光さんは、「お味噌汁ってすごく幅広いんです。お味噌と具材、もうそれだけでお腹いっぱいになるものが作れるんだよっていうことをエッセイも含めて書いています。お味噌汁を作れることは、お料理をきちんとできることだと思うので、その手助けをできる本になっていると思います」と話しました。

>>「料理が教えてくれたこと」土井善晴さんインタビュー

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本格フランス料理を家庭で

 料理の専門家や料理店のオーナーで構成される特別選考委員が料理部門入賞作品の中から選ぶ「プロの選んだレシピ賞」は、三國清三『三國シェフのベストレシピ136 永久保存版』(KADOKAWA)が受賞。本書は、フレンチの巨匠・三國シェフのY ouTubeチャンネルで人気のレシピだけでなく、未公開レシピを含む136品を収録。お手頃なワインとのペアリング情報も紹介しています。レストランの営業のため、授賞式には参加できなかった三國シェフからはビデオでコメントが寄せられました。

 「本当にたくさんの喜びのメッセージをいただくのですが、こうしてフランス料理をたくさんのご家庭に届けることができて、とても僕は嬉しいです。(この本は)誰でも簡単にできて、分かりやすくて、フレンチのエッセンスが詰められているので、これからも長く、多くの人に愛されたら嬉しいです。グーで〜す!」(三國シェフ)

三國シェフ

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超ずぼらな人向けのレシピ集

 『宇宙一ずぼら絶品めし』(KADOKAWA)は、料理系人気YouTuberだれウマさんによる超簡単ずぼらレシピ集。「ワンパン」「レンジだけ」「包丁要らず」「混ぜるだけ」などの分類のもと、ガッツリ男飯から、肉魚料理、おつまみ、スイーツまで、3ステップのレシピで紹介しています。

だれウマさん

 だれウマさんは、料理研究家となってから料理レシピ本大賞に選ばれることを目標に頑張ってきたといいます。「今回、栄誉ある賞をいただけて本当に嬉しいです。僕はまだまだ未熟者なんですけれども、本日この会場にいらっしゃる先輩方の大きな背中を追いかけながら、これからも僕の活動のモットーである『料理で笑顔の幸せの輪を広げる』という理念を実現していけたらと思います」と真面目に語ったのち、最後にお辞儀の際にマイクに頭をぶつけるというハプニングが発生。アンバサダーの天野さんが「ここにもう実直さが表れていますね」と言ったように、だれウマさんの人柄が伝わる一瞬でした。

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食べるものは、体だけでなく心も支えてくれるもの

 コミック賞を受賞した中山有香里さんの『泣きたい夜の甘味処』(KADOKAWA)は、夜にだけお店を開く一軒の甘味処を舞台にした作品。疲れて泣きたい人たちの心にそっと寄り添うように供されるのは、温かいお茶と甘いもの一品だけ。物語に登場する、11のお菓子レシピがついています。

中山有香里さん

 看護師として働きながら作家活動をする中山さん。本書には病院で働く人や病を患っている人やその家族も登場します。「看護師として働いていて、食べることは当たり前のことではないし、おいしく食べられることは本当にすごいことだなと思っています。食べるものは、体だけじゃなくて心も支えてくれているという気持ちを込めてこの本を描きました」と、物語に込めた思いを語ってくれました。

>>「泣きたい夜の甘味処」中山有香里さんインタビュー

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プロのパティシエやシェフが先生

 子どもの本賞には、昨年に続き、柴田書店の「すごい!シリーズ」の一冊が選ばれました。『お菓子はすごい!』は、4人のプロのパティシエやシェフたちが先生となってお菓子作りを教えてくれます。

柴田書店・長澤麻美さん

 「パティシエが教えるというと難しそうに感じるかもしれないですけど、子どもたちが作れるお菓子を掲載しています。子どもたちが使いやすいように、漢字にはルビを振ったり、写真をたくさん使ったりしています。ただ子どもっぽいお菓子ばかりではなく、お店でも売っているような本格的なお菓子もあるので、大人の方でも十分に使える本です」(柴田書店・長澤麻美さん)

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来年で10周年

 授賞式の最後には、「料理レシピ本大賞 in Japan」実行委員会の加藤勤委員長が登壇。「今年の入賞作品の傾向を見ると、ひとことで言うと『家族』かなと思います。料理レシピ本大賞は、時短や簡単というレシピが比較的強いんですが、今年はじっくり作るレシピも受賞したと思います。コロナ禍で、家族で過ごす時間が増えたので、料理にかける時間も増えたり、家族で一緒に料理を作ったりということが増えたのかもしれません。料理レシピ本大賞は来年、10周年を迎えます。来年も、書店員さんが胸を張ってすすめられる本を選んでいきたいと思います」と話し、セレモニーを締めくくりました。

 受賞作品を集めた「料理レシピ本大賞入賞フェア」を全国の書店で開催中です。さまざまな形で、いまを生きる人たちに寄り添うように作られたレシピ本の数々。あなたにピッタリな1冊もきっと見つかるはずです。